導入の背景
- 生牡蠣の定期便(サブスク)を提供するため
(以前のカートシステムはリピート販売に対応していなかった)
導入結果
- 月間平均売上は前プラットフォームと比較して180%に
- 最大で前年比241%の増加
株式会社ゼネラル・オイスターの子会社である株式会社海洋深層水かきセンターは、殻付きの生牡蠣を自社ECサイトで販売する「e-oyster(イーオイスター)」を運営しています。
今回はゼネラル・オイスターグループが「e-oyster」のカートシステムとしてサブスクストアを導入した経緯について、株式会社ゼネラル・オイスター経営管理本部の松倉さん、加古さんに詳しくお話を伺いました。
なお株式会社海洋深層水かきセンターは、サブスクストアをスタンダードプランで契約されています。
会社概要とサービス内容
──会社概要について教えてください。
加古さん:ゼネラル・オイスターグループは、「Everybody oyster」のビジョンのもと「8TH SEA OYSTER Bar(エイスシーオイスターバー)」などのレストランを経営する直営店舗事業、安全性の高い牡蠣を安定供給する卸売事業、安全性の原点となる種苗・養殖事業、牡蠣加工事業を展開しています。牡蠣ビジネスの6次産業化を確立し、一貫して安全性の高い高品質の牡蠣を提供しています。
「e-oyster(イーオイスター)」は、日本最大級のオイスターバーチェーンを展開する株式会社ゼネラル・オイスターの子会社、株式会社海洋深層水かきセンターが運営する公式通販サイトです。
──「e-oyster」のサービス内容について教えてください。
加古さん:「e-oyster」では、自宅にいながら本格的なオイスターバーの味を楽しんでいただくために、殻付きの生牡蠣や冷凍カキフライ、牡蠣醤油、卓上電気コンロなどを取り扱っています。
牡蠣と聞くと「あたるのが怖い」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。ゼネラル・オイスターグループでは全国各地の牡蠣を富山県入善町の浄化施設ですべて浄化してからお届けしますので、限りなく安全・安心な生牡蠣を楽しんでいただけます。
特許取得済みの技術を用いて「海洋深層水」(注:表層の海水と混ざらない水深200m以深の海水のこと)で浄化することにより、一般的な紫外線殺菌海水による浄化よりもミネラル分が豊富かつ新鮮な状態に保つことができるんです。
行政の基準よりも厳しい基準の安全管理を行うことで、店舗のクオリティと変わらない「生」の美味しさをご自宅でもご堪能いただけます。
また、産地別で生牡蠣の食べ比べがお楽しみいただけるのも「e-oyster」の強みとなります。
自社ECサイト「e-oyster」立ち上げとカートシステム移行の背景
──どのような経緯で「e-oyster」を立ち上げましたか?
松倉さん:もともと富山のセンターでは全国の飲食店などの卸しを行っていたのですが、新型コロナウイルスの流行により業績不振となりました。それで「何か打開策を」ということでEC・通販事業を立ち上げることになりました。
当時知識がない中、手探りで「e-oyster」を運営し始めました。カートシステムは安価な総合通販用のカートシステムを導入しました。
「おうちでオイスターバー」というコンセプトですので酒類を通信事業で販売するための免許もサイトオープンから数か月後に取得し、店舗でもお出ししているワインや日本酒をクロスセル(関連商品の推奨)で販売開始しました。
──どのような経緯でサブスクストアへ移行したのでしょうか?
松倉さん:「e-oyster」をし始めて半年ほど経った時に、当時EC運営に関してアドバイスいただいていた方に「サブスクリプションで牡蠣を提供することでLTV(顧客生涯価値)を上げていったほうがいいのではないか」といった指摘をもらったんです。
そこで当時のプラットフォームで3ヶ月だけお試しで提供してみたところ、意外といい結果が出たんです。それで「牡蠣の定期コース(サブスク)」は需要があるなと思ったんですね。
ただ、以前のカートシステムはリピート通販(サブスクリプション)を前提としていなかったので受発注業務や経理業務などでとても苦労しました。例えば「毎月自動で決済」「商品の出荷前に自動でお知らせ」といったリピート通販専用のカートシステムでは当たり前にできることができなかったんです。
一方サブスクストアであれば「自動的に決済し、出荷前にお客様にあらかじめお知らせすることができる」と。そのような仕組みがやっぱり”サブスク”と謳っているだけあってきめ細かいと感じました。
他にも候補のシステムがあり比較検討しましたが、結果としてサブスクストアを弊社のプラットフォームとして採用することにしました。「これから商品数を増やし、かつ様々な売り方をしたい」という前提、かつ「追加のカスタマイズをせずにスタンダードプランでもある程度対応可能」なのがサブスクストアだという判断です。
サブスクストアに移行後、月間平均売上が180%に
──サブスクストア導入による「売上向上」や「工数削減」効果を教えてください。
加古さん:前プラットフォームと比較して、月間平均売上は180%に拡大しています(前プラットフォームの全稼働期間2020年8月〜2021年8月とサブスクストアの全稼働期間2021年9月〜2023年2月の月々の売上の平均値を比較して)。
また、最も売上が伸びる12月のみで比較すると241%増加となっています(2020年12月と2021年12月の比較)。
もちろんこれらの数値はプラットフォームの移行だけが要因ではないはずですが、サブスクストアのメルマガ配信やクーポン管理といった販促管理機能を活用することによって、リピート顧客の獲得や売上の波をコントロールしやすくなったと感じます。
実は「e-oyster」で購入されるお客様の大半はメール経由での購入なんですね。現在は「新産地の牡蠣の紹介」や「特別割引クーポン配信」を週1~2回メルマガ配信することでサイトへの集客を図っています。
サブスクストアは、メルマガの機能がわかりやすくて使いやすい。私はHTMLベースで組み立てて結構作り込んでますね笑
またサブスクストアであれば、どれくらいの人が開封したのか、どれくらいのエラー率が出ているのか、会員数がどれくらいいるかといったところが、ポンと一覧で見れるのでその点も魅力に感じます。
工数に関しては以前のプラットフォームと比較すると受注データのCSV出力が簡単に行えるため、日々のルーティンワークとなる受発注業務の工数が50%程度削減されたのではないでしょうか。その分、販促や商品開発などに工数リソースを割けるようになりました。
──サブスクストアへの要望や、期待していることはありますか。
加古さん:率直に申し上げますと、導入当時は御社に電話サポートがなくメールでのサポートのみだったのでなかなか導入が進まず苦労しました。ただ昨年(2022年)から電話サポートやユーザーとのヒアリングなどを積極的に行っていただけるようになり、以前よりも安心してEC運営を行えるようになりました。
今後も綿密なヒアリングによる、プラットフォームへの迅速かつ的確なフィードバックを期待しています。
「牡蠣の定期便」(生牡蠣のサブスク)について
──「牡蠣の定期便」の概要について教えてください。
松倉さん:「牡蠣の定期便」は、全国の生産者から直接買い付けた生牡蠣や牡蠣の加工食品を毎月厳選してお届けするサービスです。
2022年6月からサブスクストアを活用して「生牡蠣の定期便β」をテスト運用しましたが、その期間内の解約率は10%程度でした。取り扱える牡蠣の産地が少なくなる夏場に殻付き生牡蠣の定期便を行うという今思うとチャレンジングな試みでしたが、ありがたいことに継続してくださるお客様は大勢いらっしゃるんだないう印象がありました。
2023年2月にブラッシュアップした「牡蠣の定期便」を正式リリースしました。これからもお客様の視点に立ち、商品の選択肢を増やしたり、配送スキップなど、お客様の要望に柔軟に対応出来るよう心がけたいと思います。
──食品、特に牡蠣という商材を扱う上で配慮しているポイントについて教えてください。
加古さん:当社は生牡蠣を活きたままお召し上がりいただくことにこだわりがあるため、原則”殻付きのまま”牡蠣をお届けしています。慣れていない方には少しハードルの高い商品かもしれませんが、初心者でも安心してご購入いただけるように牡蠣を剥くための牡蠣ナイフや軍手、牡蠣の剥き方の説明書などを同梱しています。
活牡蠣の消費期限は出荷日も含めて4日間となります。発泡スチロールに梱包してクール宅急便でお届けしているのですが、生モノ、特に牡蠣という食材の性質上中身を完全に把握することは難しいため、状態不良の牡蠣が混ざってしまうこともあります。ご連絡があったお客様には補填サービスなどを行っているのですが、このような問題点の克服が今後の課題と考えています。
今後の展望と、EC担当者へのメッセージ
──今後の展望を教えてください。
加古さん:「牡蠣の定期便」の会員様が毎月飽きずに牡蠣をお楽しみいただけるように新商品の開発を進めることです。生牡蠣は非常に取り扱いが難しい食材で、安全に浄化するだけではなく”大きさ”や”身入り”など状態管理も必要になります。冷凍カキフライなど牡蠣の加工食品も取り扱っていますが、やはり当社としては生牡蠣を美味しくお召し上がり頂きたいという思いが第一にあります。
牡蠣醤油やタバスコなどのオプションの充実や、ギフトとしても安心して購入できる「ハズレのない生牡蠣」などを安定供給できるように日々精進してまいります。
また牡蠣由来の亜鉛サプリも2023年4月末から販売予定です。
牡蠣は栄養豊富な食材ですが、特に亜鉛を多く含んでいるんです。サプリには亜鉛の吸収を促進するビタミンDも配合し、美容や健康に関心のある30代〜50代の女性向けの商品としました。亜鉛とビタミンDの含有量については東北大学農学研究科の白川仁教授の学術指導を受けています。
松倉さん:従来の「亜鉛のサプリ」は男性向けの商品が主流ですので実際に売れるか不安でしたが、先日テスト販売してみたところすぐに完売してしまったので手ごたえを感じています。
またこのサプリメントには、「身が小ぶり」などの理由で従来廃棄されてしまうような牡蠣が使用されています。そのような意味では、フードロスの削減という社会的意義のある商品にもなっていますね。
──最後に、EC担当者の方に向けてメッセージをお願いします!
加古さん:Alibaba創業者のジャック・マーも述べているように「あきらめることが、最大の失敗」だと思っています。商品開発も販促も日々、失敗の連続です。なぜ失敗したのかを分析すると本当に些細なことが原因の場合もあります。ただ見方を変えれば、ほんの少しの工夫で売上が急激に伸びることもあるということです。この商品開発のプロセスこそがEC運営の醍醐味だと思っています。
サブスクストアは電話対応の再開といったように圧倒的にサポートが充実したので、安心してEC運営が行えます。ユーザーへのヒアリングの機会もあり、非常に将来性が見込めるプラットフォームだと思います。生牡蠣という取り扱いが難しい食材のサブスクを行えるプラットフォームなんて、システムの汎用性が高いサブスクストアくらいではないでしょうか。