

会社概要
株式会社ヒューマンアジャストは、関東・九州・関西で鍼灸接骨院を展開する企業グループです。
2007年の設立以来、「日本全国の施術者の地位向上と業界の発展」をビジョンに掲げ、鍼灸接骨院の運営を中心に、健康食品・健康関連器具等の販売、店舗運営支援、国家資格者の人材紹介などに取り組んでいます。
現在は60店舗以上を展開するなど、事業規模を拡大しています。
会社情報
本社所在地:東京都新宿区西新宿二丁目7番1号 新宿第一生命ビルディング25階
展開エリア:関東・九州・関西
店舗数:67店舗(2026年3月末時点)
従業員数:約580名(パート・アルバイト等を含む、2026年3月末時点)
業態:鍼灸接骨院運営事業、店舗運営等支援事業
物販の取り組み
患者様のセルフケアを支える商品提案を組織文化へ
グループ院で実践した、物販を事業の柱へと成長させるまでの取り組み
ヒューマンアジャスト様では、患者様の健康維持やセルフケアを支える取り組みとして、物販と施術サブスクを展開されています。
まずは、物販の取り組みについてご紹介します。
サマリ
・物販導入前は、鍼灸接骨院で商品を販売することへの心理的な抵抗や在庫リスクへの懸念があり、施術以外の収益源が限定的でした。
・物販専門チーム「HAOS」の活動を通じて、物販を単なる「物売り」ではなく、施術時間外のセルフケアを支える商品提案として捉える考え方を社内に広げました。
・酵素サプリメントやインソールなどの商品ラインナップの拡充や定期購入の導入などを進めたことで、物販売上が大きく成長しました。
・現在では、定期購入による売上も物販事業を支える重要な柱の一つとなっています。

──物販導入を検討されたきっかけは何でしたか?
伊理様:一番のきっかけは、社長が掲げた「無在庫物販」という方針です。
以前は、施術で使用するオイル以外の商品について、在庫管理のリスクを懸念して物販に消極的でした。しかし、スマートフォンで注文を完結できる無在庫型の物販を取り入れ、自費施術に加えて新たな収益源をつくりたいという考えから、導入を決めました。
また、来院時間以外の患者様の生活に対して、適切なセルフケアを十分に提案できていないという課題もありました。
食事や栄養についてお伝えすることはできても、当時は外部のECサイトで販売されている商品を紹介する程度にとどまっていました。
──導入直後は、どのような組織的課題がありましたか?
伊理様:導入後の約1年間は、思うように取り組みが進みませんでした。
当初は「とにかく売る」という意識が先行し、現場から抵抗感を示されることもありました。そこで、売上だけを追うのではなく、まずはオンラインショップの会員数を増やす方針へと切り替えました。
正月にはポイントプレゼント施策を実施するなど、商品を提案できる基盤づくりに注力しました。
その後、高単価商品を含むラインナップを増やし、患者様にとって必要な商品を各院で考え、提案する土壌を整えていきました。インソールの販売も、社内の意識が変化するきっかけの一つとなりました。
──物販専門チーム「HAOSリーダー」発足の背景を教えてください
伊理様:HAOSは「ヒューマンアジャスト・オンラインショップ」の略称です。
当初はマネージャーが中心となって運営していましたが、その後、物販に意欲のある若手スタッフがリーダーを担う体制へ移行しました。これが現在のHAOSの原型です。
現在は約20名が参加し、物販に対する考え方や商品知識を社内に広げるとともに、月替わりのキャンペーンの管理・推進も担っています。
HAOSリーダーは正式な役職ではありませんが、活動内容は社内の定性評価の対象です。HAOSリーダーの経験者が院長に昇進した事例もあります。
──施術者として、物販への抵抗感をどのように乗り越えましたか?
伊理様:私自身、以前担当していた患者様のことで、今も心に残っている経験があります。
その方はお酒が好きで、生活習慣による体調面の悩みを抱えていました。当時は、施術以外の時間に取り組んでいただけるセルフケアを十分に提案できず、もどかしさを感じていました。
患者様が鍼灸接骨院で過ごす時間は、生活時間全体のごく一部です。来院時間以外の生活を支える選択肢として、患者様の状況に応じてインソールやサプリメントなどをご案内することには意味があると考えています。
こうした考え方をHAOSの活動を通じて共有することで、物販に対する社内の抵抗感も徐々に薄れていきました。
──導入後の売上の変化について教えてください
伊理様:HAOSを通じて社内の意識や現場の提案導線を整えたことで、物販に取り組むための基盤ができました。
その後の主な転機は二つあります。
一つ目は、サプリメントの定期販売を開始したことです。
最初から順調に販売できたわけではありません。メーカーによる勉強会を複数回実施して商品知識を深めるとともに、社長をはじめ社員自身が商品を試し、商品特性や提案方法について理解を深めました。
物販に苦手意識を持つスタッフもいましたが、当社として患者様のセルフケアに役立つと考える商品を選び、一人ひとりの状況に合わせて提案を続けた結果、徐々に実績につながりました。
二つ目は、インソールをはじめとする商品ラインナップの拡充です。
柔道整復師・理学療法士の知見をもとに開発されたインソールの導入など、複数の施策を進めた結果、物販売上が伸長しました。
インソールは日常生活の中で継続して使用できる商品であることから、来院時間以外のセルフケアの選択肢の一つとして提案しています。
さらに、定期購入商品を含むラインナップを拡充したことで、患者様一人ひとりの生活やお悩みに応じた提案の幅が広がりました。
その結果、物販売上は年々増加し、現在では当社事業を支える売上の柱の一つとなっています。
物販の取り組みの推移
| フェーズ | 主な取り組み |
| HAOSリーダー発足前 | 手探りでの物販運用 |
| HAOSリーダー発足後 | 現場リーダー主導の体制構築 |
| サプリメント定期販売開始後 | 定期購入の基盤づくり |
| 商品ラインナップ拡充後 | インソール等の商品拡充と定期購入の積み上げ |
鍼灸接骨院は、稼働人数、ベッド数、営業時間などによって、一日に対応できる患者様の人数が決まりやすい業態です。
物販を取り入れたことで、施術以外の形でも患者様のセルフケアを支援できるようになり、新たな収益機会にもつながりました。
また、定期購入では継続利用による売上が積み上がるため、院の稼働時間だけに依存しない収益基盤づくりにも寄与しています。
──定期購入の効果をどのように感じていますか?
伊理様:現在では、定期購入による売上が物販事業を支える重要な柱の一つとなっています。
単品販売だけで毎月同じ売上を積み上げ続けることは簡単ではありません。定期購入の利用が継続することで、日々の提案活動の成果が売上として積み上がりやすくなりました。
ただし、売上だけを目的として継続利用をおすすめしているわけではありません。健康維持や日々のセルフケアには継続的な取り組みが重要であるため、一人ひとりのお悩みや生活状況を確認し、必要性を丁寧にお伝えすることを徹底しています。
──患者様からはどのような声が寄せられていますか?
伊理様:次のような声をいただいています。
・サプリメントを利用する中で、食事や生活習慣など、日々の健康管理を意識するようになった。
・枕を店舗で実際に試してから購入できたため、納得して選ぶことができた。
・インソールを取り入れたことが、日常生活でもセルフケアに取り組むきっかけになった。
・自分で商品を使用した後、家族にも紹介した。
私自身も、商品を提案した後に使用状況を伺うようになりました。来院時の施術だけでなく、患者様の日常生活についてお話しする機会が増えたことをうれしく感じています。
──これから物販を導入する院へメッセージをお願いします
伊理様:物販は、単に商品を販売するためのものではなく、来院時間以外のセルフケアを提案するための選択肢でもあります。
まずは、自分自身が家族や友人にも紹介したいと思える商品を選び、スタッフが商品特性を理解し、納得感を持って提案できる環境を整えることが大切です。
患者様一人ひとりの悩みに寄り添う手段の一つとして、取り組みを始めてみてほしいと思います。
施術サブスクの取り組み
継続来院を支える仕組みと、安定的な収益基盤づくりを両立
全社の安定的な収益基盤を支える施術サブスクの運用事例
続いて、施術サブスクの取り組みについてご紹介します。
サマリ
・サブスク導入の主な目的は、回数券運用で課題となっていた「月初売上のゼロベース」や離反率、回数券の管理・運用上の課題に対応することでした。
・現在では、施術サブスクが院運営を支える継続的な収益基盤の一つとなっています。
・対象院では、サブスク導入後に離反率の改善が確認されています。
・モデル院の一例では、導入前の比較対象期間と比べて売上が大幅に増加した事例もあります。ただし、同期間にはスタッフ数の増加や店舗体制の変更など複数の要因があります。

──サブスク導入の背景と目的を教えてください
伊理様:施術サブスクの運用は、サブスクアット導入から約2年後に開始しました。
目的の一つは、回数券を中心に運用していた際の「毎月の売上をゼロから積み上げる状態」を見直し、単価と売上を安定させることでした。
また、当時は離反率が社内の目標値を上回っており、患者様が継続して来院しやすい仕組みをつくることも課題でした。
──メニュー構成とサブスクの位置付けを教えてください
伊理様:メニューには、単発施術、回数券、サブスク、自費施術券などがあります。サブスクの対象は、主に矯正、EMS、鍼施術です。
複数のメニューを用意していますが、現在はサブスクを重点施策の一つとして位置付け、毎月の目標会員数を設定して進捗を確認しています。
──導入前後では、どのような変化がありましたか?
伊理様:サブスク導入期間中には、スタッフ数の増加や店舗体制の変更など、複数の変化がありました。そのため、売上の変化をすべてサブスク導入の効果と断定することはできません。
一方、対象院では離反率の低下や継続来院者数の増加が確認されました。
サブスクは患者様が継続して通院しやすい仕組みの一つとして機能し、対象院では主要な収益源の一つとなっています。
モデル院Aでは、患者数自体に大きな増加が見られない中でも、継続して来院する患者様が増え、売上が伸長しました。
モデル院Bでも、サブスク導入後に離反率の改善が確認されました。
また、患者様との接点が増えたことで、施術以外の商品についてお話しする機会も広がり、多くの店舗で物販売上の増加が見られました。
これらの変化には、サブスクだけでなく、スタッフ数や店舗体制、商品ラインナップなど複数の要因が影響しています。
──現場ではどのような変化がありましたか?
伊理様:月初時点で一定の継続売上を見込めるようになったため、新規患者様による売上やその他の売上についても、見通しを立てやすくなりました。
スタッフ単位でも一定の継続売上が見込めることで、目標に向けて落ち着いて取り組みやすくなったと感じています。
──サブスク推進チームは、どのような役割を担っていますか?
伊理様:サブスク開始当初は、目標を達成できない月もありました。
そこで、サブスクの運用・推進を担う専用チームを発足しました。チームには院長だけでなく、若手スタッフも参加しています。
チームでは、解約数の分析や運用上の課題への対応、サブスクに対する考え方の社内共有などに取り組んでいます。
──サブスク推進チームに関してどのような役割をになっていますか?
伊理様:サブスク開始当初は中々目標達成ができないこともありました。
そこで、サブスク運用専用チームを発足して推進をしていくことになりました。
チームには院長レイヤー以下のメンバーも多数所属しており、若手の活躍の場にもなっています。
チームは約2年間活動しており、解約数の課題、社内での考え方の浸透と色々な課題に対応しています。
──導入初期にはどのような課題がありましたか?
伊理様:矯正施術のサブスクでは、特定のスタッフだけでなく院全体で患者様に対応するため、スタッフ間の技術や対応品質をそろえることが課題でした。
そこで技術部を発足し、勉強会の実施回数を増やすことで、技術の標準化と品質向上に取り組みました。
また、新しい仕組みを導入する際には、現場に戸惑いが生じることもあります。最初から運用方法だけを伝えるのではなく、「なぜ取り組むのか」という目的を共有することを重視しました。
実際の運用事例を社内で共有しながら、サブスクの目的や患者様にとっての選択肢としての価値を継続的に発信することで、少しずつ社内の理解を得ていきました。
──サブスクを導入してよかったと感じる点を教えてください
伊理様:患者様からは、次のような声をいただいています。
・回数券のようにまとまった金額を一度に支払う必要がなく、通院を検討しやすくなった。
・自分の通院計画に合わせて利用しやすい。
スタッフからは、次のような声があります。
・回数券よりも、患者様の状況に合わせて通院計画を調整しやすくなった。
・今後の施術計画について、患者様と認識を合わせやすくなった。
例えば、初期は一定の頻度で通院し、その後は患者様の状態や希望を確認しながら頻度を見直すなど、一人ひとりに合わせた計画を立てやすくなりました。
サブスク導入の大きな成果は、患者様が継続して通いやすい選択肢を増やせたことです。対象院では、それが結果として離反率や売上の改善にも寄与したと考えています。
※本事例に記載する売上、構成比、離反率等は、株式会社ヒューマンアジャストにおける特定期間または対象院の実績です。店舗体制、スタッフ数、商品構成その他の要因も含まれるため、サブスク導入のみの効果を示すものではなく、同様の成果を保証するものでもありません。