

カート選定の軸
- 早期にショップを立ち上げたかったため、
スムーズに導入できるカートシステムであること - 導入当初リソースが限られていたため、
固定費を抑えられること
株式会社TeN(以下、TeN社)は、自社製品であるグルテンフリーの雑穀kokuu(コクー)及び産地直送の商品を販売するネットショップ「イミコトマルシェ」を運営しています。
今回は、TeN社がネットショップを運営するにあたりサブスクストアを導入した経緯や導入後の効果について、EC Managerの池田さん、伊東さんに詳しくお話を伺いました。
なおTeN社は、サブスクストアをスタンダードプランで契約されています。
イミコトマルシェのサービス概要
──イミコトマルシェのサービス概要について教えてください。
池田さん:イミコトマルシェでは、自社製造の食品及び産直商品の販売をしています。自社の商品は「kokuu(コクー)」という名前で、グルテンフリーの国産雑穀24種類とスーパーフードが3種含まれています。
──コクーはどのようなニーズを持つ方に向けた商品なのでしょうか。
池田さん:「健康を意識して白米を雑穀に変えたい、あるいは既に変えている方で、その雑穀を通してグルテンを摂取してしまっていることに気づいていない方」をターゲットにしています。
大麦や小麦等に含まれるグルテンは、タンパク質の一種で、麺やパンのもちもちとした触感を生むのに役立っています。ただグルテンは西欧由来の食事に多く含まれる成分ということもあり、米食中心だった日本人にとってはグルテンの過剰摂取により体調不良になってしまっている場合もあります。
アレルギーをお持ちの方はグルテンの有無を気にされているのですが、アレルギーのない方については気にされていない方も多く、健康を意識して白米に雑穀を入れているという方が知らず知らずのうちにグルテンを摂取し身体に対して微量なダメージを蓄積させてしまっているかもしれないんです。
ただし雑穀をとるという習慣自体は身体に悪いわけではありません。そのためコクーは、健康・美容のために安心して食べていただけるようなグルテンフリーの雑穀として開発しました。
食べ物なので「おいしい」というのは大前提で、コクーはそれに付加価値があるような商品を目指し開発しました。ただの雑穀ではなくグルテンフリーの雑穀であるという点で、他との差別化を図っています。
──特にどのようなお客様にご購入いただいていますか。
購入後のアンケート調査によると、ファミリーのお客様が多いですね。お子様の成長のため、旦那さんの健康診断の数値改善のため、自身の美容のためなど様々な理由があるようです。
イミコトマルシェ立ち上げの経緯
──TeN社の事業について教えてください。
池田様:弊社はもともと広告代理事業メインで創業いたしました。現在ではWeb広告、メディア事業、EC事業など多角的に展開しています。EC事業ではイミコトマルシェのような食品通販事業だけでなく、ECモールの運用支援やサイト制作等の事業も行っております。

──どのような経緯・想いで、食品通販事業のイミコトマルシェを始められたのでしょうか。
広告代理事業を通して多種多様なお客様をご支援させていただいく中で、消費者の方が求めているモノの価値が機能的な価値から情緒的な価値へと変化してきていることを肌で感じていました。モノのコモディティ化が進むなか、情緒に訴えかけるようなストーリーがお客様がモノを購入する理由になっているのではないか、と。
その中でも食品は、早期から消費者の中で情緒的な価値が重視されてきたと思うんですよね。例えばスーパーで販売されている農作物をひとつとっても、生産者である農家の方の顔が見えていると安心感が生まれますし、それに加えて生産されるまでのストーリーの説明があるとより一層その商品に魅力を感じます。
食べ物としておいしいというのは当然求められますが、それに加えてその背景にあるどういう人がどのような想いで作ったのかといった要素を込めた「イミ商品」や「コト商品」であるかどうかも現代においては大事だと思うんです。
イミコトマルシェでは自社製品と各生産地から仕入れた製品がありますが、両者に共通しているのは、「想いの乗っている商品」であるということです。
食品通販の一般的に考えられるネガティブな特徴として、注文してからすぐに商品が手元に届くわけではなく、かつ送料もかかってしまうという点があります。それでもご注文いただけるような商品をイミコトマルシェでは販売していきたいと思っています。
TeN社がサブスクストアを選定した理由とは
──他のカートシステムもある中で、サブスクストアを選定した理由とは何でしょうか。
池田さん:もともと弊社は他社様のEC事業支援やイミコトマルシェの前身となるEC事業を行っていたので、サブスクストアの提供会社であるテモナさんのことを存じておりました。
イミコトマルシェを立ち上げる際のカートシステム選定のポイント・背景は以下の2点です。
①導入がスムーズにできるカートシステムであること
②導入当初リソースが限られていたため、固定費等のコストを抑えたかった
上記2つの項目をサブスクストアは満たしていました。特に①に関して、導入時担当者の方には大変お世話になりました。当時一日でも早く導入しないといけないという状況だったのですが、担当の方にご尽力いただきスピーディーに導入できました。
──サブスクストアは定期通販・サブスクリプションビジネスに特化したカートシステムです。どうして総合通販ではなく定期通販を立ち上げようと思ったのでしょうか。
こちらも理由は2つあります。
①定期通販やサブスクといったストック型ビジネスが、事業の安定性という観点において非常に優れているため
②「いいものを習慣化してほしい」という想いがあったため
②に関してコクーを例に補足すると、一日グルテンを控えただけで体質が変化するということはないはずなんですね。中長期的にご利用いただくことで初めて身体に変化が訪れるはずです。
また継続してご利用いただくとなると、お客様にとっては当然お求めやすい価格が望ましいですよね。単品でご購入いただく際よりも低価格で商品を販売することによって、定期コースをご利用しやすくしています。
上記のような理由から、定期通販(単品リピート通販)がお客様にとっても事業者にとってもいいビジネスモデルだと思い定期での販売を中心としました。
──実際にサブスクストアをご利用されて感じたことを教えてください。
伊東さん:カスタマー担当の目線で言うと、サブスクストアは非常に使いやすいです。複数のカートシステムを使っていますが私は一番サブスクストアが好きですね。
管理画面の仕様として人為的ミスが起こりにくいように配慮されている点が嬉しいです。例えば「出荷作業中のステータスになると注文内容が変更できない」といった仕様ですね。
また画面上にトラックマークがあるなど、画面が見やすく非常に操作しやすいという印象を受けました。
TeN社が考える単品リピート通販の定石とは
── TeN社が定期購入でサービスを提供するにあたり、心掛けている点について教えてください。

池田さん:単品通販というビジネスモデルでは、ニーズがあると想定される方に対してタッチポイントを作りファンになっていただき、その後それ以外の商品もご提案するという流れが定石だと考えています。
定期通販、特に単品リピート通販の購買行動はオフラインでの購買行動、例えばスーパーマーケットでの購買行動とは逆向きなんですね。スーパーの場合だとお客様はまずお店に訪れてから商品に出会って購入しますよね。それはブランド先行で、プロダクト(商品)に出会うという流れです。
対して単品通販の場合は、まずプロダクトが入り口となってサイトに訪問し、ブランドを知って共感し他のプロダクトも購入するという流れが一般的です。
そのため私たちは、まずは自社製品であるコクーを入口としてイミコトマルシェを知っていただき、その後イミコトマルシェのサイト内で産直の食品を知っていただくという流れを想定しております。
産直の商品はそれ自体の商品がブランディングされていれば、それだけでも購入いただける可能性はあるのですが、そのブランドの地位が確立していないとWebで購入いただくというのは難易度が高いです。
例えばオレンジをスーパーではなく、オンラインで手に入れようとは日常的には考えにくいのではないでしょうか。Webで食品を販売する場合、欲しいと思い手元に届くまでに時間が空いてしまうということ、またビジネスを成り立たせるために広告費等を価格に上乗せしなければならないという事情があります。
したがって、お客様に「ちょっと待ってでも買いたい」「ちょっと高くても買いたい」と思っていただくためのタッチポイントを作る難易度は高いと考えています。
ブランドの中でも、タッチポイントを作りやすい商品と、タッチポイントを作った後にご提案するほうが向いている商品があります。産直の商品はどちらかというと後者であり、お客様に先にブランドとして信頼を得てからご提案するという流れが望ましいのではないかと思います。
そのためイミコトマルシェでは、コクーという商品をご購入いただいたお客様に対して、産地直送の生産者さんのストーリーのある商品をご紹介させていただいているんです。
消費者の潜在的なニーズを汲み取った商品を提供する
──今後の展望を教えてください。
池田さん:新規で商品開発を行い、イミコトマルシェを伸ばしていきたいです。消費者の満たされていないニーズを汲み取った商品、まだ認知に至っていないけれども生産者の方の熱い想いのある商品を届けていきたいですね。
定期の販売数を伸ばして行くと同時に、買い切りモデルであったとしても「リピートしたい」と思っていただけるような商品を開発・販売していきたいです。
会社としては、従業員同士がお互いの考え方を尊重するような心理的安全性が高い組織であるようにしたいです。部署をまたいでの業務の連携も積極的に行い、ヨコやタテといった体制に縛られずに個々人が働けるような組織を目指しています。
──最後に、ECカートシステムの導入を検討している方に向けてメッセージをお願いします!
池田さん:たかがカートシステム、されどカートシステムです。ECは総合力勝負なので一つ一つの取り組みに神経をとがらせる必要がありますが、特にカートシステムは事業を左右するレベルで重要です!
スーパーやコンビニでお買いものをしているときに、レジが混み合っていたため買うことをやめてしまったという経験はないでしょうか。
どんなに良い商品・良い導線だったとしても、最後の購買のタイミングでWebサイトから離脱されてしまうと売上が立ちません。ネットショップの運営者は気を配らなければならない点が多いですが、カートシステムの選定・運用には特にこだわることをお勧めいたします。