移行前の課題
- スクラッチのシステムだったが商品をサブスクリプション(単品リピート通販)で提供するには機能が不足していた
- お客様自身が注文内容を変更することができなかったため、すべて電話で変更対応に応じなければならなかった
導入結果
- カート移行後、3年連続売上140%以上の成長
- マイアカウントでお客様が注文内容を変更できるようになったため、電話対応をはじめとした顧客対応の工数が削減
トリゼンダイニング株式会社(以下、トリゼンダイニング社)は、ペットフードをサブスクリプション(定期コース)で販売する「華ちゃん犬猫すこやか本舗」を運営しています。
今回はトリゼンダイニング社が華ちゃん犬猫すこやか本舗のカートシステムとしてサブスクストアを導入した経緯について、EC事業部課長の島田さんに詳しくお話を伺いました。
なおトリゼンダイニング社は、サブスクストアをプレミアムプランで契約されています。
会社概要とサービス内容
──会社概要について教えてください。
島田さん:私たちトリゼンダイニングは、銘柄鶏の「華味鳥」を使用した水たきを提供する飲食事業及び通販事業、そしてEC(ペット)事業を展開しています。
福岡の郷土料理 として有名な水たき を、九州産「華味鳥」を使用して料亭で提供しているのが飲食事業であり、その水たき を冷凍保存して全国にお届けするのが通販事業です。
──EC事業部が運営している「華ちゃん犬猫すこやか本舗」のサービス概要について教えてください。
自社 の養鶏場で育てた「華味鳥」を100%使用したドッグフード、ささみのドライジャーキー、ペット用の水たき 、また各種サプリなどの商品を販売しております。
ペットフードに自社 の養鶏場で育てた国産の銘柄鶏が使用されている商品というのはなかなか珍しいのではないでしょうか。華ちゃん犬猫すこやか本舗では、大切な家族でありパートナーでもある愛犬や愛猫のために「おいしくて安全なドッグフードを食べさせてあげたい」という飼い主様に向けた、こだわり の商品を提供しています。
EC(ペット)事業立ち上げの経緯
──新たに事業者向けのサブスクリプションサービスを立ち上げられた経緯を教えてください。
弊社はもともと養鶏、食肉の加工、卸、解体処理も自社で行っております。
その関係で社長が食肉ではない部位を加工するレンダリング作業 を視察する機会があったのですが 、そこで製造される“ミール”(鶏肉を粉末状に加工したもの)がドックフードにも使用されているということを知ったようです。
社長自身も犬を飼っていたので普段与えている市販のドックフードの原材料を見てみると、そのドックフードにも鶏肉由来のミールが含まれているようでした。ただ、そのミールがどこでどの部位が加工されたものなのかが曖昧なため不安に感じたようです。
自分たちであれば九州産の「華味鳥」を使って、人間も食べられる部位で製造することができ 、かつ愛犬においしく食べてもらえるような安全安心のドックフードを作って届けることができるのではないか──そのような想いから事業が構想されました。
ペットフードに「華味鳥」というブランドを使用するのはブランドの価値を毀損してしまうのではないかという意見も社内にはありました。
現在では多くの飼い主は家族の大切な一員としてペットと接しており「良いものを食べさせてあげたい」という想いがきっとあるはずだと社長が会長を説得し 、商品化が実現しました。
サブスクストアは「同じ商品をリピート購入してもらう」ことがシンプルに実現できる
──事業立ち上げ当初は、どのようなカートシステムを利用されていましたか?
スクラッチ(ゼロからオーダーメイドで開発されたシステム)のカートシステムでした。水たき を販売する通販事業のシステムを制作したベンダーに、EC(ペット)事業用のカートシステムも安価で開発してもらったんです。ところが「同じ商品を何回もリピート購入してもらう」というサブスクリプション(定期通販、単品リピート通販)というビジネスモデルでペットフードを販売していくには不十分なシステムでした。
例えばそのスクラッチのシステムには会員データベース機能がなくマイアカウントが存在していなかったため、全ての注文を電話で受けることになってしまいました。そのため、ある程度売上が立ってきたときに電話が鳴りやまないという状態になりましたし、お客様としても自分で注文内容を簡単に変更できなかったことはストレスであったと思います。
通常はASPのカートシステム(標準的な機能が搭載されたインターネット経由で利用できるカートシステム)を最初に導入し、機能に物足りなさを感じるか売上が上がってきてそのカートでは処理に限界が出てくるからスクラッチに移行していくというケースが多いはずですが、当時は知識がなく中途半端なスクラッチのシステムから始めてしまったことが失敗でしたね。
立ち上げ当初、社長含め2~3人のチームで運営していました。商品の販売開始から約2年後の2020年、対応人員を拡大させるよりも、受注対応やマイアカウントでの注文内容変更が可能となるようなカートシステムへ移行しようということでカートシステムをサブスクストアに移行しました。
──どのような経緯でテモナやサブスクストアを知りましたか。
島田さん:福岡の有名通販会社の社長など、代表が何人かの知人から御社やサブスクストアのことを紹介してもらったことがきっかけです。
──他のカートシステムもある中で、サブスクストアを選定した理由とは何でしょうか?
サブスクストアに決めたのは、商品をサブスクで提供するために必要な機能が揃っているからです。
サブスクストアだけでなくその他の有名なリピート通販向けカートシステムのデモ画面ももらって実際に社内で比較・検討した結果、最終的にサブスクストアへ決めました。
サブスクストアは”シンプル”だったのがよかったです。ここで言う”シンプル”とは、システムのわかりやすさや日々業務で使用していく上での操作のしやすさという意味ですね。当時我々は3名体制であり複雑なシステムに習熟していくよりもサブスクストアの標準機能を使い切るほうが事業拡大に資すると思いサブスクストアに決めました。
現在社内で他部署が利用しているスクラッチのシステムや他のリピート用カートシステムの管理画面を見る機会があるのですが、サブスクストアのほうがやはり分かりやすいと感じますね。
サブスクストアに移行後、3年連続売上140%以上の成長
──サブスクストア導入による「売上向上」「工数削減」効果を教えてください。
サブスクストアを導入してから約3年が経ちますが、ショップの売上は3年連続で前年比を上回り、今期は前年比140%程度で推移しています。 多くのお客様に定期コースで商品をご購入いただいておりますので、その分お客様一人あたりの購入回数・頻度が多くなっています。
工数削減という観点では、システムの仕組みが全く異なるので厳密な数字ではありませんが体感50%以上削減されたのではないでしょうか。お客様自身が注文内容を変更できるようになったことや受注対応のフローが大幅に改善されたことが大きいです。
率直に申し上げて、現場は「何もかも楽になった」というのが感想です(笑)
──テモナのサポート対応で、よかった点や印象に残ったことがあれば教えてください。
島田さん:サブスクストア導入時には、サイトの基本設定構築からデータ移行まで二人三脚の姿勢で、滞りなくスタートできるようサポートいただきました。
導入後に感じるのは、お問い合わせした際にわからないことを曖昧に回答しない姿勢ですね。その場で即答できないようなこちらの質問に対しては「わからない」とはっきりと答え、後日正確な回答がなされる、そんな印象です。
ペットフードをサブスク(定期コース)で販売するメリットとは
──順調に売上を拡大させてきたトリゼンダイニング社ですが、どのようにお客様を獲得してこられたのでしょうか。
島田さん:「地道に積み上げてきた」というところでしょうか。「これをやってみよう」と賭けに出た施策はことごとくうまくいきませんでした。
資金をかけて大規模プロモーションを展開するというよりは、「市販の商品よりも高価ではあるがおいしくて安全な商品」であることを理解していただけるような飼い主さんに出会えるような施策を着実に展開してまいりました。上記のような姿勢に共感してくださる誠実な広告代理店さんやメディアさんを少しずつ見つけることも重要ですね。
──サブスクリプション(定期コース)で商品を販売するメリットについて教えてください。
島田さん:お客様のメリットとしては、定期的に商品が届くので「明日のご飯がない」といった状態が起こりません。輸送が天候事情などで滞ることもありますが、複数個をご購入いただくことでストックいただくことが可能です。
定期で複数個ご購入いただく際には、「最大で20%OFF」「送料無料」など特典を付けています。災害時などのもしもの備えのためにぜひ定期コースをご利用いただきたいと思っています。
事業者目線で言えば、上記のような定期コースの仕組みを最大限活用した施策が打てるのがメリットだと感じますね。その前提として、施策を可能にする機能がカートシステムに備わっているかということが重要になってくるんです。
特にペットフードはペットの食欲や好みに応じて注文される種類や頻度が変わってくるので、定期コースのお届け内容をお客さんが気軽に変更できる仕組みを作れるサブスクストアのようなカートシステムを選ぶ必要がありますね。
今後の展望:商品ラインナップの充実による事業拡大
──今後の展望を教えてください。
島田さん:私たちトリゼンダイニングは、「世界に”うまか”を届ける」というミッションを掲げています。”うまか”とは博多弁でおいしいという意味です。「華味鳥」を使った最高品質のおいしいドッグフードを、全国のペットに食べていただきたいと思っています。
現在はイヌ向けの商品がメインとなっているので、今後はネコ向けの商品やその他ペットを対象にした商品もラインナップに加えペットフード事業を拡大していく予定です。
──サブスクストアへの要望や、期待していることはありますか。
島田さん:ある程度システムに慣れてきたこともあり、「やりたいこと」や「できたらいいな」と思う点はいくつかあります。
例えば、お客様が買い物しやすいようにマイアカウントのユーザビリティ(使いやすさ)はもっと向上してほしいですね。サイトに警告の文言や案内を表示しても「単品購入だと思ったら定期コースだった」というケースや、「定期の注文内容を変更した際にいつ何個商品が届くかチェックしにくい」といった声がどうしても上がってくるためです。
機能がアップデートされていっていることは知っているので、様々な要望を吸い上げつつより利用しやすいカートになることを期待しています!
──最後に、カートシステムの導入を検討している方に向けてメッセージをお願いします。
島田さん:システムの変更は短期間で容易に行えるものではなく、多大な労力がかかります。それゆえ、システム導入は慎重に行う必要があります。
システムの選定において重要なポイントを挙げるとすると、それは複雑なシステムは使いこなすのに苦労するという点です。「できることが多い」ということは利点ではありますが、現場でいざ運用しようというときに「何をやっていいのかわからない」という事態に陥ってしまうかもしれません。