オプトイン、オプトアウトとは?ネットショップ運営で押さえておきたい法律知識

オプトイン、オプトアウトとは?ネットショップ運営で押さえておきたい法律知識

メールマガジン(メルマガ)の配信は、ネットショップの売上を向上させてくれる施策の一つです。メルマガを通して顧客と接触し、ECサイトやLP(ランディングページ)に案内することで、ネットショップの売上アップを図ることができます。

一方で、メルマガ配信では顧客の個人情報を扱うため、法律の遵守や顧客からのクレーム対応に留意しなければなりません。

メルマガ配信をするなら、法律や顧客対応に関わる「オプトイン」「オプトアウト」というメールの配信形式について理解しておく必要があります。

本記事では「運営しているネットショップでメルマガ配信をしたい」「メルマガ配信の注意点を知りたい」という方を対象に、メルマガ配信におけるオプトインとオプトアウトの基礎知識と注意点を解説します。

メルマガ配信におけるオプトインとは?

まず、メルマガ配信の主流となっているオプトインについて解説します。

「オプトイン(opt-in)」は「参加する」「加入する」という意味で、メルマガ配信の用語としては、「メルマガ配信があることを事前に認識してもらい、配信しても良いかの承諾を得ること」を意味します。

つまり、オプトインは「事前承諾を得た人にしかメルマガを配信を行わない」ということです。事前承諾を得ずにメルマガ配信をすると「特定電子メール法」によって罰せられる可能性があるため、現在ではこのオプトインというメール配信形式が主流となっています。

「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、通称「特定電子メール法」は、迷惑メールを規制するため2002年に施行されました。規制の対象は広告や宣伝を目的とした電子メールであり、ネットショップの配信するメールマガジンも該当します。

罰則は一番重いもので「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(法人は3000万円以下の罰金)」と定められています。この罰則は送信者情報を偽ってメールを送信したり改善命令に従わなかったりした場合に科せられます。

罰則を受けないようにするため、また顧客からの信頼を失わないためにも、メルマガ配信を検討する際は特定電子メール法に違反しないように事前承諾を得ることを徹底しましょう。

メルマガ配信におけるオプトアウトとは?

次に、オプトインと対照的な「オプトアウト」について解説します。

「オプトアウト(opt-out)」は「不参加」「脱退する」という意味の語で、メルマガ配信の用語としては、「メルマガを受け取りたくない受信者がメルマガの受信拒否通知を行うこと」を意味します。前述のオプトインとの違いは、メルマガ配信の主導権がメルマガ配信者(ネットショップ運営者)にあるか受信者(顧客)にあるかということです。

オプトインではメルマガ受信者に配信するかどうかの決定権がありますが、オプトアウトの場合はメルマガ送信者に決定権があります。オプトアウト方式で受信者ができることは配信されているメルマガの停止(受信拒否)であり、具体的には「メルマガ購読の解除」ということになります。

オプトインの取得方法

ネットショップ運営者が顧客にメルマガを配信するには、オプトインの事前承諾を取得する必要があります。ここではオプトインの取得方法を見ていきましょう。

一般的なのは、ECサイト上(購入ページや資料請求ページ)にメルマガの登録を希望するかどうかを問うチェックボックスの設置です。チェックボックスに受信者にチェックを入れてもらうことで配信の意思表示とします。

加えて、名前や配信先のメールアドレスの入力フォーム、個人情報取り扱いの方針に同意するかどうかを問うチェックボックスなども準備します。メルマガ配信先のメールアドレスは個人特定情報として個人情報保護法の対象となりますので、取り扱いには十分注意しましょう。

具体的には、ネットショップ事業者は、顧客の個人情報を第三者へ提供する場合は事前に顧客本人から承諾を得る必要があります。また個人情報の行方を追跡できるように、個人情報の提供者も提供された側も個人情報の授受の記録を保存しなくてはなりません。

オプトアウトでのメルマガ配信が推奨されない理由

2008年の迷惑メール対策関連の改正法により、オプトアウト方式でのメール配信は厳格化されています。

改正以前は、顧客に事前に承諾を取らずに企業がメール配信を行えました。つまり、購読拒否したい人はメルマガが一度配信された後に自ら購読拒否の手続きをする必要があったのです。また、顧客が知らないうちに個人情報が名簿業者から他の名簿業者へ拡散されるケースがありました。そのため法改正を機に、より内容が厳格化されました。

改正の内容としては、例えば、要配慮個人情報(人種や社会的身分、犯罪被害に遭ったことがあるかなど)についてはオプトアウト方式が利用できないといったものです。要配慮個人情報は対象者への偏見や不利益につながる恐れのある情報として特別な配慮が必要なので、オプトアウトで本人が意識せずに情報が拡散することがないように、オプトインの取得しか認められません。

また、法律で定められた事項をあらかじめ個人情報保護委員会(内閣府の下に置かれた行政委員会)に届け出ることが必要になりました。

オプトアウトを採用するには個人情報保護法や特定電子メール法を正確に理解し法律違反をしないように運用することが求められるので、メルマガ配信には原則としてオプトイン方式を採用しましょう。

クレームを事前に防ぐ!メルマガ配信の注意点

オプトインとオプトアウトの違いが分かったところで、最後にメルマガ配信の具体的な注意点を確認していきましょう。

必ずメルマガのコンテンツ内に記載しなければならないのが、「表示義務」となっている下記項目です。

送信者の氏名または名称
送信者の住所
苦情や問い合わせ先の電話番号、メールアドレス、URL
オプトアウトの仕方や購読解除用のURL

オプトインで事前承諾を得る際に、メルマガ配信を希望するかどうかのチェックボックスに最初からチェックをつけているネットショップがあります。しかしこのような対応だと顧客がチェックに気づかずに身に覚えのないメールが来たと感じる可能性があり、クレームになりやすいのでチェックは外しておいたほうが無難です。

また、オプトインで承諾を得たとしても、顧客がいつでもメルマガの受信を停止できるようにメルマガの最後の方に配信停止ページのURLを用意しておきましょう。

「配信停止の手続きをしたのにまだメールが届く」というクレームは多いので、配信停止の依頼が届いてからの処理はすみやかに行い、配信停止の処理漏れがないようにしましょう。

メルマガ配信についてのお問い合わせが来ることもあるので、担当者は迅速かつ丁寧に対応しましょう。たとえ問い合わせ内容がクレームであっても、担当者の対応次第でネットショップの印象が良くなります。

メルマガは配信時間にも注意しなければなりません。夜中や早朝など非常識な時間の配信はクレームに繋がりやすいです。

配信方法にも気をつけましょう。手動でBCCにメルマガ配信対象のメールアドレスを入れて送る場合は、誤ってBCCではなくCCにメールアドレスを入力してしまうと、配信対象のアドレスがすべてのメールに表示されてしまうためメールアドレスがすべて流出してしまいます。仮にそのような流出が起これば顧客からの信頼を失ってしまうので、BCCを使用したメルマガ配信は避けましょう。

メルマガ配信の対象数が少ないため手動での配信を行うネットショップ事業者もいますが、手動による配信はアドレスの流出のほかにも人為的なミスを誘発しやすいという点でおすすめできません。メール配信機能が備わっているシステムの導入を検討しましょう。

最近は個人情報の扱いについて事業者だけでなくインターネット利用者一人一人も敏感になっており、身に覚えのないメールについてはどこから個人情報を入手したのかと不信感を抱くことも少なくありません。

メルマガへの不信感はネットショップへの不信感に直結します。メルマガ配信はネットショップの売上アップ・リピーター獲得に有効な施策ですが、個人情報の取り扱いやメールの配信停止手続きについてよく考えずに配信してしまうと、反対に顧客離れに繋がる可能性もあります。

メルマガ配信を継続して行っていくためにも、個人情報や電子メールに関する法律を理解し、クレームが発生しない運用の仕組み作りをしていきましょう。

まとめ

オプトインとオプトアウトは、ネットショップ運営において必ず押さえておきたい用語です。まとめると以下となります。

オプトインとは、メルマガ配信があることを顧客に事前に認識してもらい、配信してもよいかの承諾を得ること
オプトアウトとは、メルマガを受け取りたくない受信者がメルマガの受信拒否通知を行うということ
オプトインの取得には、ECサイト上にメルマガ配信に関する同意文を掲載し、メルマガの登録を希望するかどうかを問うチェックボックスなどを用意する
オプトアウト方式は厳格化されているので、広告を含むメルマガ配信の場合はオプトイン方式を採用する
配信時間、配信停止ページURLやセキュリティに注意してメルマガ配信を行う

参考:一般財団法人日本データ通信業界「迷惑メール相談センター」
総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律|情報セキュリティ関連の法律・ガイドライン」
安藤健作「3-4 メールマガジン」、飯髙悠太他『現場のプロが教える! BtoBマーケティングの基礎知識』マイナビ出版、2022年

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