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服は店舗に行って自分で選んで購入する時代から、ネットのオンラインショップで購入することも当たり前になっています。そして近年は、購入する、つまり「所有」することから「利用」するという、モノの価値観が変化している時代です。
その中でも、購入からレンタルサービスを利用する人が増えている服(ファッション/アパレル)のサブスクリプションに注目していきます。
ここでは、服のサブスクリプションを始める際に考えておきたいことや提供する際のポイントについてみていきます。
商品やサービスを提供する側のメリットだけではなく、利用者側のメリットも知ることで、利用者満足度アップにつなげましょう。
服のサブスクリプション(定額制)が人気な理由を知っておこう!
サブスクリプションとは、「定額の料金を支払うことで、毎月商品を手に入れたり、サービスを継続的に利用したりすることができるビジネスモデル」を指します。
サブスクリプションとは?事業者のメリットと成功のコツで紹介しているように、「モノ消費からコト消費」へと消費スタイルが変化しつつあります。
サブスクというと、動画(映画、アニメなど)、マンガ、音楽などがサブスクリプションビジネス代表としてイメージされることが多いのですが、デジタルコンテンツのみならず、車、家具家電、服のサブスク化も進んでいます。
服のサブスクリプションが人気な理由は3つあります。
1つ目は、自分が本当に気に入った服だけを手元に置くことができるため、収納スペースがかさばらないことです。
ミニマリストや断捨離、片付けコンサルタントや収納アドバイザーと言った職業も注目され、その生活やメソッドをYouTubeで配信している方もいるように、所有するものを厳選するライフスタイルが人気になっています。
また、不用品として処分したものランキングでも上位を占めるのは洋服、本、靴、食器類などがありますが、洋服が1位になるようです。
着たいときに借りればいい状況なら、頻繁に着る服以外を思い切って手放すことができますし、服のサブスクであればクリーニング不要で返却できるサービスもあるので、お手入れの手間も省けます。
捨てることができず悶々と悩む時間
整理する時間
お手入れの時間とコスト
から解放されることがメリットは大きいでしょう。
2つ目は、購入するよりレンタルの方が安いことです。
5,000円の服を月2着購入すると10,000円はかかります。
MECHAKARI(メチャカリ)であれば、月5,800円で1枠(3点)をレンタルし放題なので、月6点借りたとしても返却手数料を合わせて月8,080円で済みます。
また、メチャカリでは新品の服が届くので、購入した気分を感じられます。
購入したけど着ていない、着るだろうと思い購入してみたものの数回しか着ていないなど、無駄な出費をおさえることができます。
3つ目は、さまざまな服を試すことが可能であることです。
その年ごとに流行ファッションがあり、トレンドに合わせて購入されている方も多いでしょう。
しかし、流行ファッションの切り替わりは早く、トレンドに合わせて購入しても来年も着るかどうか悩ましいところではないでしょうか。
一時期の流行りの服であれば、サブスクを利用することでその時の流行ファッションを気軽に取り入れやすくなります。
また、挑戦したことのないファッションを試してみたいときにも、サブスクを利用していれば気軽にできます。
人気な理由はいくつもありますが、どのような悩みがありその目的にあったサービス内容で服のサブスクが選ばれています。
上記に当てはまらない方式もありますので、服のサブスクの種類と事例を交えて紹介します。
服のサブスクにおける4つの種類と事例
服におけるサブスクの種類は、大きく分けて4つあります。
まず1つ目は、服のサブスク型に多い利用者本人が自分で服を選ぶ方式の「選択型」です。
ファッションセンスに自信があり、自分のことは自分で決めたいタイプの利用者に選ばれやすいです。
2つ目は、企業側が利用者に合わせて服を選ぶ方式の「提案型」です。
提案型のサブスクを特徴としている airCloset(エアークローゼット)は実際に雑誌や広告で活躍するプロのスタイリストがお好みのファッションから体型に合わせて、リクエストを元にプロの視点で30万着から選び届けてくれます。
たとえばデートのシーンに合う服がわからない場合、リクエストすることでシーンに合った服の組み合わせを提案してくれます。
多くの商品から自分で選ぶのが面倒な人や、忙しすぎて服選びにかける時間がない人にも重宝されます。
3つ目は、届いた服の返却が必要になりますが、何度でも借り換えられる方式の「レンタル型」です。
MECHAKARI(メチャカリ)では、出荷完了から60日借り続けたレンタルアイテムをプレゼントするサービスも行っており、一定日数以上借りると、借りた服がもらえるサービスがあります。
気分によって服を変えたい人や、職場に制服がなく毎日同じ服装で行くわけにはいかない職種の人にも向いています。
4つ目は、月額料金を支払うことで、規定の商品を購入できる方式の「購入型」です。
購入型のサービスを取り入れているサブスクも多数ありますが、DROBE(ドローブ)は自宅で試着し気に入ったものだけ購入できるサービスです。
省スペース化といったメリットはありませんが、お気に入りのファッションブランドのおすすめ商品が定期的に届くので便利です。
上記の種類の分類では選択型かつレンタル型で、さらに「おさがり」の服をシェアできるサービスもあります。
それが子ども服のサブスクのKIDSROBE(キッズローブ)です。KIDSROBEでは着れなくなった子供服をシェアできる、シェアリングエコノミー時代にあったサービスとなっています。
服のサブスクのポイント
服のサブスクは在庫の確保、商品のメンテナンスと管理などもありデジタルコンテンツ以上に参入障壁は高い業態です。
また、スーツのサブスクでは、紳士服のAOKIの「suitsbox」、老舗アパレル企業のレナウンの「着ルダケ」など大手企業が参入しても撤退しているケースもあるように、資本力があれば成功するわけではありません。
すでにある成功事例のターゲット層がどこなのか、何を売りにしているのか調べることなど、自社の強みをどこに置くか考えることがポイントになります。
STP分析を使っていくと整理がしやすでしょう。
1. セグメンテーション
年齢や性別、職業やライフスタイルでのセグメンテーションを行いましょう。
女性、男性、オフィスワーカー、高級品を身に着ける必要がある人たち、などです。
2. ターゲティング
次にターゲティングを行います。女性だけ、男女関係なくオフィスワーカーに、普段着とオフィス服オンオフどちらもお洒落にしたい女性に、などです。
3. ポジショニング
最後にポジショニング。同じセグメントに対して競合となるサービス提供している会社があるのか?そこはどういった特徴を打ち出しているのかを調査してポジショニングを行いましょう。
ポジショニングマップを作ると可視化できてよりイメージしやすいでしょう。
競合サービスをポジショニングすると、競合が多いのか少ないのか?少なすぎる場合は、狙うべきか、狙うのが難しいから競合がいないのか?を考えましょう。
STP分析で「誰に対して?」というターゲットが明文化できたら、USP(Unique Selling Proposition:ユニークセリングプロポジション)を考えましょう。
お客様から選ばれる理由=競合にはないサービスの独自性が必要です。
STP分析からUSPまでの流れを簡単に考えてみます。
さまざまなジャンルのファッションに挑戦してみたい若年層をターゲットに、トレンドを取り入れて商品数を多くする代わりに、サイズ展開を少なくして価格帯も抑える。
「安いのに、ファッションモデルのようにトレンドを着るサブスク」をコンセプトにする。 逆に、オーソドックスなデザインながらも上質なものを身につけたいと考えている中年層をターゲットにするのであれば、商品数よりも商品の質に重点を置き、サイズ展開を広めにとり、価格帯を高めに設定。
「いいものにはお金を使う、でも所有するのはイマドキの大人じゃない」と、高いものは身に着けるが、サステナブルなライフスタイルを好む大人向けにサービス展開する。
これに加えて、提案型、購入型などの要素を加えていくことで独自性が強まります。
実際にはもっと時間もかかり複雑になるでしょうが、このようにマーケティングのフレームワークを取り入れるなど、ターゲットや戦略、戦術を整理して事業の強みを作っていきましょう。
また定額制の料金体系のため、商品が売れれば儲かる従来の売り切り型よりも売上回収に期間がかかります。その間も在庫確保や倉庫などの固定費はかかり続けます。
利用者が増えてくるまでの資金繰りをどうするか、考えておく必要があります。
近年サブスクリプションへの注目度が高まっているため、他社にはないサービス展開を考えていくことで資金調達がしやすくなるはずです。