目次
近年注目されているサブスクリプション(サブスク)。
「サブスク」と聞くと最初に思い浮かぶのは音楽や映画のサブスクかもしれませんが、デジタルコンテンツ以外のサブスクサービスも存在します。
本記事では有名なサブスクサービスの事例を紹介するとともに、そもそもサブスクリプション(サブスク)とは何なのかという定義やサブスクのメリットやデメリットについて解説します。
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サブスクリプション(サブスク)とは?いまサブスクが注目されている背景も解説
サブスクリプション(subscription)とは?
サブスクリプション(subscription)とは、「定額の料金を支払うことで、毎月商品を手に入れたり、サービスを継続的に利用したりすることができるビジネスモデル」を指します。
「サブスクリプション(subscripition)」とは、端的に言えば「定期購入」「定額制」「会費制」「ストックビジネス」のことです。
引用:佐川隼人『サブスクリプション実践ガイド』英治出版、2019年
サブスクリプションサービスを略した「サブスク」という表現は皆さんもよく耳にしているのではないでしょうか。
サブスクリプション自体は新しいビジネスモデルというわけではなく、古くは新聞配達、牛乳配達や通勤・通学の定期券もサブスクリプションサービスです。
サブスクリプションは収益が積み上がっていくビジネスなのでストック型ビジネスです。それに対して一度の販売で取引が終了する売り切り型のビジネスをフロー型ビジネスと呼びます。
フロー型のビジネスは市場環境に大きく依存してしまうため、リピート顧客の存在によって売上が安定するストック型ビジネスのサブスクリプションビジネスに注目が集まっているのです。
※ストックビジネスの仕組みについてさらに詳しく知りたい方はこちら:ストックビジネスとは?メリットやデメリット、フロービジネスとの違いを解説!
サブスクリプションがユーザーから受け入れられている理由
サブスクリプションは日経MJの2018年ヒット商品番付の「西の大関」として選定されるほど、多くのユーザーが利用するビジネスとなりました。サブスクサービスを利用するユーザーにとっては、商品を買い切り型よりも安く購入、あるいは利用できるためサービスを契約するハードルが低いというメリットがあります。
これほどまでにユーザーに受け入れられた背景としては、「モノ消費からコト消費」へとユーザーの消費行動が変化してきていることが挙げられます。同じような品質・機能を持つ商品がいつでもどこでも手に入るようになったこと(コモディティ化)で、購買体験・利用体験がより重視されてきているのです。
会員制サービスのコストコを例に考えてみましょう。コストコの店舗へ足を運ぶユーザーの目的は「欲しいものを大量に安く手に入れる」ことよりは「海外で買い物するような楽しさ」「珍しい商品を見つけるワクワク感」なのではないでしょうか。
定額制にすることでユーザーと事業者が関係を保ち続けるからこそ、事業者はユーザーが「ワクワク」や「感動」を感じられるようなサービスを提供し続ける必要があります。
※サブスクの市場規模やトレンドについて知りたい方はこちら:サブスク市場の動向は?サブスクサービスの最新トレンドも解説
※関連記事:【速報】日本サブスクリプションビジネス大賞2022受賞サービス発表!
サブスクサービスのビジネスモデルとは
サブスクリプションサービスのビジネスモデルと利益構造
サブスクリプションサービスのビジネスモデルは「定期契約を結んだ顧客に、商品やサービスを提供し続ける」というものです。
そのためサブスクリプション事業の利益は、「顧客数×顧客一人あたりの利益-事業運営にあたって発生したコスト」で求められます。
したがって、利益を上げるためには顧客数を増やす、あるいは顧客あたりの利益を向上させる施策が必要となります。
※サブスクの利益構造や指標について詳しく知りたい方はこちら:サブスクビジネスの利益構造とは?主要な経営指標についても解説
サブスクとレンタル、リース、リカーリングの違い
各社のサービスや提供内容によっては変わることもありますが、一般的に各ビジネスモデルの共通点や違いは以下のように考えることができます。
名称 | 内容 | 契約期間 | 課金タイミング | 途中解約 |
サブスクリプション | モノやサービスを継続的に利用するビジネスモデル | 1ヶ月〜 | 定額 | ◯ |
リカーリング | モノやサービスを継続的に利用するビジネスモデル | 1ヶ月〜数ヶ月 定期的 | 従量 | ◯ |
リース | モノやサービスを借り受けることができるビジネスモデル | 1年〜 比較的長期 | 定額 | ◯ |
レンタル | モノやサービスを借り受けることができるビジネスモデル | 数日〜比較的短期 | 定額 | △(原則不可) |
サブスクリプションと類似したビジネスモデルとして、リース、リカーリング、レンタルもありますので比較してみましょう。
各用語に明確な定義はないため便宜的な区別となりますが、課金方法と契約期間で分けることができます。
サブスクリプションモデルは基本的には「月額」だけど「やめたいときにやめられる」というのが特徴です。そのため契約後1ヶ月でやめて、半年後にまた再開することも容易です。
レンタルの場合は借りたら大体数日から1週間程度で返却することが多いです。
リースは、事業用自動車や工作機械、賃貸物件などの契約が該当することからもわかるように、中長期間契約が基本になります。具体的には、1年以上の契約期間であることが多いです。
リカーリングの代表例は、プリンターです。自宅のプリンターとプリンターのインクをイメージしてみてください。プリンターは1万円前後で購入可能ですが、インクは無くなったら購入し続ける必要があります。インクがなくなるスピードはまちまちなので特に期間はありませんし、使う量も変わるので定額ではなく従量課金となります。
他には、電気や水道、携帯の通信プラン、コンタクトレンズ、ウォーターサーバーはリカーリングビジネスです。
※サブスクとレンタル、リース、リカーリングの違いについて詳しく知りたい方はこちら:サブスクとレンタルの違いとは?リースやリカーリングとの違いもまとめて解説!
サブスクのメリットとデメリットとは
ここで、サブスクのメリット・デメリットについて整理しておきましょう。
利用者(ユーザー)のメリット
買い切りで購入するよりも低価格で購入・利用できる
サブスクサービスは、お得な価格設定になっていることが多いです。
例えば映像コンテンツのサブスクサービスを利用すれば、DVDやBlu-rayディスクを購入・レンタルするよりも、安くコンテンツを視聴できます。
物理的なモノのサブスク(例えば化粧品や食品のサブスク)でも、単品購入するより定期コースに加入したほうが商品一つあたりの価格が安いということが多いです。
「サブスクはお得である」という明確な経済的メリットが、ユーザーのサブスク加入を後押ししています。
商品を都度購入する必要がなくなる
化粧品・日用品のような消費財のサブスクの場合、定期的に商品が届くので自分でわざわざ実店舗に行く必要がありません。
モノを所有しなくてよい
レンタルのサブスクの場合、不要になったら返却・交換すればよいので自分で維持管理・処分する手間が生じません。
利用者(ユーザー)のデメリット
解約に手間がかかる
解約手続きを行わない限り、ユーザーはそのサービスに課金し続けることになります。悪質なサービスの場合解約手続きを複雑にしており、消費者トラブルの原因ともなっています。
事業者のメリット
事業の収益が安定する
サブスクサービスを利用する会員のおかげで、事業者は毎月の収益が安定します。
従来の売り切り型のビジネスの場合、今月商品が売れたからといって来月も同様に売れるかといったことは不確定です。それに対し、サブスクビジネスの場合は一定の会員は継続するという見込みがあります。そのため、事業計画が立てやすく未来の事業に投資しやすいというメリットもあるのです。
事業者のデメリット
広告費の高騰により、新規顧客獲得が難しくなってきている
Webでビジネスを行う事業者が増加しているため、Web広告費は年々高まってきています。サービスがあまり認知されていない段階にあるサブスクサービスの場合は、新規顧客の獲得に悩むことになるでしょう。
損益分岐点を超えるまでに一定の時間がかかる
新規顧客の集客にコストがかかることや、通常の価格よりも価格を抑えて商品やサービスを提供するためにサービス提供初期は一定期間赤字となってしまうというのも、サブスク事業のデメリットとして挙げられます。
※関連記事:サブスクの契約や解約時の消費者問題とは?トラブル事例や事業者側の留意点も解説
サブスクリプションサービスの事例
サブスクリプションサービスにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは「サブスク」という用語が定着するきっかけにもなったデジタルコンテンツのサブスクや、ソフトウェアのサブスク、商品が定期的に届くモノのサブスクなどを紹介します。
デジタルコンテンツのサブスク
音楽のサブスク
Apple Music(アマゾンミュージック)、Spotify(スポティファイ)に代表されるのが、音楽のサブスクサービスです。音楽のサブスクサービスは、それまでCDを購入あるいはレンタルしなければ、あるいはWebで購入してダウンロードしなければ聴けなかった音楽を、いつでもどこでも聴けるようにしました。
音楽のサブスクの特徴として、個人の行動データをもとにオススメの音楽を勧めるレコメンドの仕組みが取り入れられていることも挙げられます。
映像コンテンツ(映画、ドラマ、アニメ)のサブスク
映画やドラマ、アニメなどの映像コンテンツのサブスクサービスが、Netflix(ネットフリックス)やAmazon prime video(アマゾンプライムビデオ)です。
様々な映像コンテンツが視聴できるのに加えて、各社が制作したオリジナルコンテンツを配信することにより、利用者を増やしています。
電子書籍のサブスク
Amazon Kindle Unlimited(アマゾンキンドルアンリミテッド)に代表される書籍や雑誌のサブスクでは、対象となった書籍や雑誌が読み放題です。
マンガに特化したコミックシーモア読み放題のようなサービスもあります。
ビジネスツールのサブスク
サブスクリプションを取り入れた事例として有名なのが、MicrosoftのMicrosoft 365(マイクロソフトさんろくご)やAdobeのAdobe Creative Cloud(アドビクリエイティブクラウド)です。
従来のソフトウェアはパッケージで販売されており、利用するにはそのパッケージを購入してPCにインストールする必要がありました。
そこから課金形態をサブスクリプションに転換し、サービスの提供方法もインターネットを経由してデータやソフトウェアを提供するというSaaS型(サース型)に切り替えたのです。
もともとSaaS型のビジネスでも、利用した分だけ料金を徴収する従量課金モデルではなく定額のサブスクリプションモデルに転換するサービスが増えています。
モノのレンタルのサブスク
airCloset(エアークローゼット)では服が、Laxus(ラクサス)ではブランドバックが、Subsclife(サブスクライフ)やCLAS(クラス)では家電家具が、レンタルできます。
サービスによって条件はあるものの、高単価で手が出しにくい商品であってもサブスクサービスに加入することで利用できるという魅力があります。
化粧品・コスメサービスのサブスク
化粧品・コスメのサブスクサービスで有名なのはアットコスメが監修するBLOOMBOX(ブルームボックス)です。ブルームボックスを利用すると、ビューティーアドバイザーがセレクトしたサンプルサイズのコスメが毎月4~5ブランド分届きます。
他にも、香水のサブスクのCOLORIA (カラリア)やセルフカラーができるCOLORIS(カラリス)などが有名です。
※香水のサブスクについて詳しく知りたい方はこちら:香水のサブスク3選!メリットと選び方のポイントも紹介
食品・飲料のサブスク
Oisix(オイシックス)やnosh(ナッシュ)に代表されるように、宅配食品のサブスクサービスが人気を集めています。
定額制のカフェや居酒屋のサービスなど、実店舗のサブスクもあります。
※サブスクの事例についてさらに詳しく知りたい方はこちら:国内外のサブスクリプション事例を紹介!日本のサブスクの動向は?
まとめ
サブスクリプション(サブスク)は、「定額の料金を支払うことで、毎月商品を手に入れたり、サービスを継続的に利用したりすることができるビジネスモデル」です。
近年様々なサブスクが支持されているのは、サブスクがユーザーにとってはお得で便利なサービスであり、事業者にとっては安定収益をもたらす魅力的なビジネスモデルであるからです。
サブスクビジネスの国内の市場規模は、2022年度には1兆円を超えると予想されています。今後も国内外で様々なサブスクサービスが立ち上げられ、普及していくでしょう。