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定額制カフェやサブスクリプション(以下、サブスク)カフェという言葉をご存知でしょうか。
コーヒーと言えば、コーヒー専門店やカフェで飲むという人も多い一方で、気軽にコンビニで安くて美味しいコーヒーをテイクアウトできる利便性を重視する人もいます。
多くのコーヒー専門店やカフェで顧客を獲得するのが難しくなっており、新しいビジネスモデルが模索されています。そのひとつの形が定額制カフェ、つまりカフェのサブスクです。
今回はカフェのサブスクの仕組みや増加している理由、メリットそして具体的な事例などを詳しく紹介します。
※サブスクの定義やメリットについて知りたい方はこちら:サブスクとは?メリットやデメリット、人気サブスクリプションサービスもご紹介
サブスク(定額制)カフェの主なシステムは?
カフェのサブスクとは、毎月の月額料金として一定の料金を支払うことで、その期間中にさまざまなサービスを受けられる仕組みです。
料金体系やサービス内容はカフェによって違っていますが、多くのお店では1カ月の定額制としており、利用頻度に合わせてコースが複数用意されています。
月額料金を支払っている間は、コーヒー飲み放題や1回の来店につきコーヒー1杯、サイドメニューの割引を受けられるなど、サービスにもいろいろなバリエーションがあるのが特徴です。
主な顧客層は都市部に住むビジネスパーソンで、朝の通勤時や会社帰りのアフターファイブに店舗を利用してもらう形になります。
毎朝、出勤前にコーヒーを飲むのが習慣という人はコーヒー専門店の本格コーヒーを気軽に毎日飲める点が大きなメリットです。
通常のコーヒーがサービスされる以外にも、特別な豆を使用したコーヒーが割引されたりサイドメニューが選べたりと、店舗によって違いがあります。
月額料金としては3,000円~6,000円前後のお店が多く、料金も店舗によってかなり差があります。
平日を20日間とすると、毎日利用する計算であればコーヒー1杯が150円~300円程度で飲める計算です。
月額制でなく通常料金で頼むと1杯400円~600円前後するコーヒーを格安で飲むことができるのが、ユーザー側のカフェのサブスクの魅力にもなります。
カフェのサブスクが増加している理由
カフェのサブスクが増加している主な理由は、他業種がコーヒー業界に参入してくることで競争相手が増えているからだと考えられます。
一昔前であれば、コーヒーを飲むときは自宅でインスタントコーヒーを飲んだり、コーヒー好きな人であれば豆を購入して家で挽いて飲んだりするのが一般的でした。
外で飲む場合であれば、コーヒー専門店やカフェに行くのが普通です。
しかし、大手ハンバーガーチェーンやコンビニエンスストアもコーヒージャンルに参入していて、コーヒー業界は競争が激化しています。
大企業であるハンバーガーチェーンやコンビニエンスストアはその資本力と各地域に分散している店舗数を武器に、格安コーヒーを提供することで多くの客を獲得しています。
利用客側からすれば「安くて美味しいコーヒーが気軽に飲める」というメリットがあり、コーヒーを飲む新しいチャネルとなっているのです。
さらに、コンビニエンスストアやハンバーガーチェーンは全国に数千~数万という店舗を展開しており、普段使いしやすいという点も利用者が増えている大きな要因になります。
こうした市場の変化に対応するために、生み出されたのがカフェのサブスクです。
定額制にすることによって、コーヒー専門店ならではの本格的なコーヒーが安く飲めることを利用者に訴求するのが狙いです。
この狙いは都市部のビジネスパーソンを中心にヒットし、カフェのサブスクというサービスが徐々に広がりつつあります。
カフェのサブスク化が店舗に与えるメリットは?
ユーザー側からすればコーヒー専門店のコーヒーが毎日安く飲めるのは嬉しいことです。しかし、事業者からすれば「飲み放題にして利益は出るのか」ということが気になるのではないでしょうか。
この点に関して、カフェのサブスクは2つの大きなメリットを持っています。
それは「収益の安定化」と「サイドメニューの売上増加」です。
コーヒー専門店やカフェなどの飲食店は、季節的な要因に売上を左右されることが多々あります。特に、飲食業界で「ニッパチ」と呼ばれる2月と8月は売上げが落ち込みやすい時期で、どのお店も経営が厳しくなります。
この問題を解決してくれるのが定額制です。顧客の来店数が不安定になりがちな時期でも、定額制であれば一定の利用者(売上)が見込めます。
月額料金として料金を先に支払ってもらっているのも経営上、有利な点です。
また、定額制はいつ来るかわからない客を想定するのではなく、継続してくれる顧客の数をどれだけ増やすかという視点も重要になります。
通常メニューだけでなく、定額プランも導入することによって毎月の売上が安定しやすくなる傾向にあり、2月や8月といった閑散期も安定して経営することが可能になるのです。
さらに、一定数のサブスク利用者からはサイドメニューの利用も見込めます。
こうした相乗効果がサブスクの大きなメリットです。
カフェのサブスクは地方には少ない
以上のように事業者やユーザーにメリットがある定額制カフェですが、まだまだ店舗数は少なく、首都圏にお店が集中しています。
これはカフェのサブスクで成功している店舗の主な顧客層が20代~40代のビジネスパーソンであり、毎日の通勤のタイミングで立ち寄れる交通の便の良い場所のほうが利用客が増えやすい傾向にあることが理由です。
定額制を売りにしている以上、利用者側からすれば「毎日通えないならもったいない」と考えるのは当然のことでしょう。
逆に、地方や交通の便が悪い場所では絶対的な利用者数が少なうえに、通いにくいためビジネスモデルとして成り立たない側面があります。
もっとも、地方であっても自宅の近くに定額制カフェがあれば利用したいと考えている人は多く、そういったニーズに対して今後、どのような形でサービスが提供できるかという点が注目されています。
カフェのサブスク事例
サブスク(定額制)を導入しているコーヒーショップ
通常メニューとしてコーヒーを提供しながら、定額制のコースも提供しているカフェと、定額制コースがメインになっていて、サイドメニューは別料金で提供しているカフェの異なる2つのコーヒーショップの事例があります。ここではそれぞれの事例についてご紹介します。
なお、以下の情報は2022年8月時点の情報です。
上島珈琲店(上島珈琲店PASS)
上島珈琲店PASSは、対象店舗限定の2020年2月に始まったサービスで、ネルドリップコーヒーやアイスコーヒーが1来店につき1杯無料で受け取れます。
その他にも、平日・祝日限定で1来店につき1杯無料の「ウィークデイパスポート」や、朝の時間限定で月間8回モーニングトーストセットが無料の「朝活8」など、曜日・時間限定でのサブスクを行っています。
上島珈琲店はフードメニューも豊富なため、セットメニューを除きサブスクサービスに合わせてフードの購入が可能です。
coffee mafia(コーヒーマフィア)
コーヒーマフィアは、シングルオリジンの高品質な豆を使ったハンドドリップコーヒーが楽しめる人気のお店です。
コーヒーマフィアでは、月額3,600円のスタンダードプランや、月額6,800円のプレミアムプランが提供されています。
スタンダードコースでは、会員券を提示すると1日1回ドリップコーヒーかCRAFT TEAが無料で提供されます。プレミアムプランでは1日2回無料で受け取れます。
このように定額制であっても、ニーズごとにサービス内容を変え価格に反映させているのです。
参考:coffee mafia飯田橋/CRAFT TEA(コーヒー マフィア)のプラン
※その他商材のサブスクサービス事例について詳しく知りたい方はこちら:国内外のサブスクリプション事例を紹介!日本のサブスクの動向は?