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EC・通販事業でネットショップ(自社ECサイト)を運営するうえでカギを握るのが「決済サービスの導入」です。
なかでもECで購入を完結してもらうためにオンライン決済サービス導入は必須と言えます。その種類は多岐に渡り、どの決済方法を導入するかが売上にも影響を与えます。
各決済サービスによってどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、オンライン決済方法の種類やそれぞれのメリットやデメリット、オンライン決済サービス導入の流れについて紹介します。
オンライン決済とは?
ネットショップに導入される「オンライン決済」は、主にインターネット上での決済処理、またその決済サービス自体を指します。
オンライン決済には、購入時に与信調査などの決済処理をオンライン上で実施し、支払いはコンビニなどで現金を利用して支払う手段も含まれる場合もあります。
一昔前までEC・通販では代金引換や銀行振込が主な決済手段でしたが、ここ数年でオンライン決済手段の利用率は増加してきています。
政府のキャッシュレス推進政策により、リアル店舗でのキャッシュレス化も進められていますよね。
デジタルネイティブが増え、キャッシュレス決済に慣れてきたこともあり、今後もますますオンライン決済サービスの利用者が増加すると考えられています。
ネットショップで人気の決済手段
経済産業省の調査によると、ネットショップにて購入する際に決済方法の中で最も利用される決済手段はクレジットカードです。
引用元:平成 30 年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)
クレジットカード支払いを利用して購入すると回答したユーザーは66.1%にも上り、オンライン決済がECの一般的な決済手段となっていることがわかります。オンライン決済は、「支払いがスムーズ」という共通のメリットがあります。
以下では代表的なオンライン決済サービスをご紹介します。
クレジットカード決済
クレジットカード決済のメリットはその「保有率の高さ」にあります。
クレジットカードの保有率は2018年で84%と言われており、年代を問わず多くのユーザーに利用されています。クレジットカードは即時決済されるため、代金回収が出来ないといったことが少ない決済手段です。
一方で、ネットショップ運営者はチャージバックに注意しましょう。
チャージバックとは、クレジットカード保有者であるユーザーが不正利用や身に覚えのない支払いとして支払いに同意しない場合、クレジットカード会社から販売元(ネットショップ)に対して支払いの取り消しまたは利用代金の返金を要求することです。
チャージバックが発生した場合、売上がゼロになることに加えて、ユーザー対応が発生するため手間となります。
※クレジットカード決済についてさらに詳しく知りたい方はこちら:ネットショップに欠かせない!クレジットカード決済の仕組みと特徴
コンビニ決済
コンビニ決済とは、購入した代金を全国のコンビニ(コンビニエンスストア)で支払う決済手段です。
コンビニは全国に店舗を構えているため、クレジットを保有していないユーザーでも気軽に利用することが出来ます。しかしコンビニまでわざわざ出向かわなければならないので不便と感じるユーザーもいるでしょう。
コンビニ決済でも、EC事業者がユーザーへ払込票を送付しそれを利用して支払いを行う「払込票タイプ」、購入後に番号が表示されその番号を利用して支払う「払込用発番タイプ」の2種類があります。また、後払い以外にも「前払い」もあるので自社にあったコンビニ決済を利用しましょう。
キャリア決済
キャリア決済とは、ネットショップで購入した商品を携帯料金とまとめて支払うことができる決済手段です。
docomoは「d払い/ドコモ払い」、auは「auかんたん決済」、SoftBankは「ソフトバンクまとめて支払い」などの名称でサービスを提供しています。
クレジットカードのようにカード番号等の入力をする必要がなく、本人認証で決済を進めることができます。この特徴はクレジットを保有していない若年層のユーザーにとって大きなメリットとなります。
ただし利用限度額が月額最大数万〜10万円程度に設定されているため、商品単価の高いネットショップを運営するEC事業者にとっては、導入すべきか検討する必要があるでしょう。
ID決済
ID決済とは、Amazonや楽天などのアカウントIDに登録している会員情報をもとに、自社のネットショップで購入することができる決済手段です。
有名なのがAmazon Pay(アマゾンペイ)や楽天Pay(楽天ペイ)などがあり、近年非常に利用が伸びているオンライン決済手段です。
ID決済では、新たにクレジットカード情報を入力せず、既に利用したことのあるサービスのログインで購入することができます。そのためカゴ落ちの大きな要因である個人情報の入力の手間を削減できます。
また馴染みのあるサービスで決済できることからユーザーは初めて買い物をするネットショップでも不安なく購入手続きができるため、売上アップが期待できます。また各社不正対策へも力をいれているため、セキュリティの面でも安全です。
※Amazon Payについてさらに詳しく知りたい方はこちら:Amazon Pay(旧Amazonペイメント)とは?Amazon Payの特徴と導入方法を紹介
後払い決済
後払い決済とは、ネットショップで購入した商品が届いた後に支払いを行う決済手段です。
購入したユーザーに商品が到着後、請求書が送られたタイミングで購入者が支払手続きに進みます。後払い決済の利用には審査がありますが、配偶者にのみ収入のある主婦層なども利用することができます。
ユーザー視点では購入した商品の状態を確認したのちに支払いを行えるため安心感があります。
※後払い決済について詳しく知りたい方はこちら:ECサイトで後払い決済システム導入の手引き!利用の方法とポイント
以下ではその他の決済手段についてご紹介します。
銀行振込決済
銀行振込決済とは、ユーザーが商品を注文した後、銀行口座や銀行のATMなどを利用して指定された口座に料金を払う決済手段です。
銀行振込決済は、クレジットカードを保有していないユーザーにとっても利用しやすいです。利用可能な加盟店と提携していれば、オンラインでの銀行振込決済も可能です。銀行やATMに直接行かなくてもスマートフォンまたはパソコンなどから決済することも可能になりました。
その他にも、銀行口座が必要とする指定した口座から自動的に引き落とされる口座振替があります。
自動引き落としは、サブスクリプションサービスなどの定額制、化粧品、食品などの定期購入サービスなど毎月支払い続けるサービスの利用時には、支払い忘れの心配がなくなるため便利な決済手段です。
EC事業者にとっても、月ずれがなく入金されるので安心して利用ができます。
代金引換
代金引換は、注文した商品と引き換えに配達員に料金を払う決済手段です。「代引き」とも呼ばれます。配達業者が代金を精算し、決済代行会社によって販売者(ネットショップ運営者)に振り込まれます。
配送業者によってはクレジットカード決済が可能です。また、代金引換は、商品の料金とは別に代引き手数料がかかります。
運送会社によって手数料は異なりますが、サービス利用料、配送業者に支払う手数料があるため、手数料(手数料率)やクレジットカード支払い可能な配送業者を考慮して選ぶといいでしょう。
料金の未回収リスクがなく、料金を支払ったが商品が届かないといったことも避けられるので、ネットショップと購入者どちらにも安心と利便性が高い決済手段といえます。
こういったオンライン決済方法は、中小企業や個人のサイトでも導入可能です。
多様なオンライン決済手段を取り入れることで、キャッシュフローの安定化ができたり、サイトの信頼感を高めることができます。ユーザーにとってはユーザーが買い物をしやすいショップになります。
オンライン決済手段を多様化することの事業者にとってのメリットは、何よりも売上アップにつながりやすいことでしょう。
決済手段で変わるネットショップの売上
次に、決済手段の導入について詳しく解説します。
ユーザーが利用する決済手段を選ぼう
ネットショップで希望する支払い方法がない場合、「カゴ落ち率」、つまり商品をお買い物かごに入れたのにサイトから離脱されてしまう割合が高まってしまいます。そのためユーザーがEC・通販サイトを利用する際、決済方法は重要なポイントとなります。
「クレジットカード決済のみ導入すればいい」などと決済方法を絞ると、せっかくの見込み顧客がサイトから離脱してしまいまうでしょう。
「クレジットカードの個人情報の漏洩リスクを回避したい」「コンビニ決済だと手間がかかるので避けたい」「コンビニ、銀行が近くにないのでキャリア決済でまとめて払いたい」などと、ユーザーにとって各決済に対して感じる安心感や手間は異なってきます。 ECサイトで取り扱う商材やターゲットユーザーの年齢などから決済手段を選ぶといいでしょう。
オンライン決済を導入すると購入者のニーズに応えられ、ECの利便性が高まることで売上の向上につなげられます。
購入までのスムーズさ
商品を注文する際入力フォームに、住所、名前、電話番号など入力した次に決済の詳細、クレジットカード番号、名前、有効期限、セキュリティー番号を入力する必要があります。その他にも、会員登録をしないと購入できないといったECサイトもあります。
入力項目が多くては、ユーザー側も面倒になり離脱してしまいます。
購入まで簡単にスムーズに進むためにも、会員登録なしで購入できる設計、会員登録が必須であればそのメリットの訴求、入力フォームを1つにまとめる、またはAmazon Payなどの個人情報を新たに入力しなくても購入ができる決済サービスを導入するといったようにスムーズに購入しやすい環境作りをしましょう。
定期通販とオンライン決済の相性はいい
定期通販(単品リピート通販)とは、特定の商品を一定の周期で届け続けるサービスです。
ユーザーは基本的には毎月料金を支払うことになるため、継続課金されるオンライン決済であれば料金の支払いが便利になります。そのため、定期通販とオンライン決済の相性はいいとされています。
どのようなオンライン決済手段を取り入れるかで売上が左右されるので、事業立ち上げ時から、決済方法には注意をしてネットショップを構築しましょう。
ネットショップのオンライン決済導入で準備すべきこととは?
ここでは、オンライン決済導入までの流れを紹介します。
決済導入方法は「直接契約」と「代行会社経由契約」の大きく2つがあります。
直接契約
導入したいオンライン決済会社へ個別に連絡をして、審査を受けて契約を結ぶ方式です。 クレジットカード決済などを導入した場合などに、実施できます。
決済手数料の交渉などが直接できるため、低い料率を実現できる可能性があります。しかし、小規模のEC事業者では契約内容や運用方法の管理が煩雑になる可能性があります。
代行会社経由契約
オンライン決済の代行会社(オンライン決済代行サービス)を通して契約をする方式です。決済代行会社1社と契約することで、各オンライン決済会社と包括的な契約をすることができます。
さらに、導入までの手順が決まっているためスムーズに進めることができ、一般的な契約方法になっています。
オンライン決済代行サービスの活用が便利!
先に挙げたオンライン決済(クレジットカード決済、コンビニ決済、キャリア決済、ID決済、後払い決済)いずれも、代行会社経由での契約が可能です。
そして、オンライン決済代行会社経由の契約の方が手続きが簡単です。
有名なオンライン決済代行会社の例としては
・SBペイメントサービス
・GMOペイメントゲートウェイ
・ゼウス決済サービス
・ヤマトクレジットファイナンス
などがあります。
便利なオンライン決済代行サービスですが、注意点もあります。
決済代行会社を選ぶ前に、その決済代行サービスがカートシステムと連携できるかを確認する必要があります。またカートシステムによって決済代行の利用できるサービスや手数料が違うこともあるため、手数料の確認は必須になります。
逆に言うと、カートシステムによって選択できる決済代行サービスが異なるため、カートシステムの選定が非常に重要になります。
オンライン決済導入時の注意点
オンライン決済を導入するうえで気を付けるべきことは以下です。
・初期費用
・決済手数料(料率)
・入金サイクル
・情報漏洩や不正利用対策のためのセキュリティ対策
・サービスや補償内容
カートシステムとオンライン決済の連携は確認必須
ネットショップを始めるにも、サイト構築から運営、顧客管理、決済、在庫管理、発送などの工数がかかります。そんな中、一番最初にオンライン決済会社選定から始めようとする事業者はほぼいないでしょう。
オンライン決済会社選定よりも、決済サービスと連携することになるカートシステムから選ぶことがオススメです。
理由は以下の2点です。
1. 導入までがスムーズ
2. 他社での導入事例があるのでサポートが充実している
主要な決済サービスはカートシステム連携が確認されているため、カートシステムと決済サービス連携を新たに開発依頼するのが不要であるのはもちろん、他社での導入対応経験があるため導入がスムーズに行われます。
カートシステムと決済システムで何かトラブルがあった際でも、充実したサポートを受けられるでしょう。
絶対に導入したい決済方法がある場合や利用予定の決済方法が明確な場合は、サービス連携状況や手数料率がチェックポイントになります。
まずは自社サイトのターゲット層、年齢や性別から決済手段を考えることが重要になりますが、必要な決済手段を見極め適切なカートシステムを選びましょう。
※カートシステムについてさらに詳しく知りたい方はこちら:【ネットショップに必須】カートシステムとは?カートシステムの概要とカート選定のポイントをご紹介!