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近年、化粧品・コスメのD2Cブランドが次々と立ち上げられています。
どうしてここまで化粧品・コスメのD2Cが注目されているのでしょうか。本記事では化粧品・コスメのD2Cの市場規模や注目される背景について解説します。
またその販売方法、メリット・デメリット、国内の人気D2Cブランドの事例紹介や成功のポイントなども併せて紹介します。
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化粧品・コスメD2Cブランドの市場は?
D2C(Direct to Consumer、DtoC)とは、商品の製造から販売までを自社で行うビジネスモデルです。
近年D2Cが注目されているのは、事業者が自社ECサイトを開設することでコンシューマー(消費者)とダイレクトに関わることが容易になったという理由です。
ここ数年は新型コロナウイルス感染症の影響により、化粧品・コスメ業界は全体では売上が減少しました。一方でマスクの着用による肌荒れや家で時間を過ごすことが多くなったことによる「巣ごもり需要」により、「スキンケア商品」の需要は高まっています。各ブランドのECサイトで化粧品を購入する方の割合(EC化率)も高まりました。
実店舗で商品を購入するとしても、「購入前にネットで情報収集する」ユーザーも年々増えています。つまり、実店舗に訪れる前に興味あるブランドについて事前に調べているというわけです。
加えて男性の美意識の向上により、男性用のコスメ市場も広まりつつあります。
以上のような背景もあり、自社ECサイトで化粧品・コスメを販売する化粧品・コスメのD2C市場が注目されているのです。
※D2Cの特徴やそのメリットについて詳しく知りたい方はこちら:D2Cとは?ビジネスモデルとそのメリット、成功事例を解説!
参考:PR TIMES「スキンケア化粧品購入意識調査、ニューノーマル時代のスキンケアはどう変わった?」
化粧品・コスメD2Cブランドの成功事例6選
ここからは、成功事例として実際に展開されている化粧品・コスメD2Cブランドのサービス内容についてご紹介します。
①セルフカラーの新しい提案:COLORIS(カラリス)
COLORIS(カラリス)は、パーソナライズ(個人に最適化された)ヘアカラーができるサービスです。無料のWeb診断に回答することで、一万通りの処方から自分に合ったヘアカラーが定期的に届きます。自宅でサロン品質の髪色を実現できることが人気の秘訣です。
※関連記事:人気D2CブランドCOLORISに聞く!D2Cのマーケティング戦略
②クレンジングに特化したコンセプトが支持:DUO(デュオ)
2010年に誕生したDUO(デュオ)は、クレンジングバームの販売からスタートしたブランドで、現在もそのクレンジングバームが主力商品です。
「落とすチカラ」にこだわり、クレンジングに特化したブランドコンセプトが強く支持されています。顧客の様々な肌悩みに応じるために、商品のラインナップを拡大させています。
③インスタライブでスキンケア情報を発信:SHIRO(シロ)
株式会社シロ(旧:株式会社ローレル)のブランドSHIRO(シロ)は、北海道由来の素材を活かした商品が支持されてきたブランドです。現在ではファブリック製品、ホームフレグランスなども販売しています。
またSHIROのスキンケアに使っている素材や加工品を厳選した食のセレクトショップの「SHIRO LIFE(シロライフ)」、ヘアサロン・ボディ&フェイシャルスパが一つになった「SHIRO BEAUTY(シロビューティー)」、素材のおいしさが追及された「シロカフェ」なども展開しています。
フォロワー数41.6万人(2022年8月現在)のインスタグラムでは、スタッフが視聴者の悩みに答えるスキンケア相談会をライブ配信しており、併せてアイテムの紹介も行っています。
④「暮らしを豊かに」ライフスタイルブランドを確立率:N organic(エヌ・オーガニック)
SNSでの口コミで話題になったブランドが、N organic(エヌ・オーガニック)です。
過去にはベストコスメに選ばれたこともあるほど、オーガニックコスメとしても高い人気を誇ります。
柑橘系のリラックスできる香りは、100%精油のエッセンシャルオイルを独自にブレンドしています。「香るスキンケア」ということでSNSでも話題になりました。
インスタグラムではフォロワー限定で隔月のプレゼントキャンペーンも行っています。
⑤美肌研究家が作るスキンケア:meeth(ミース)
meeth(ミース)は、「美肌は最高のジュエリー」というキャッチコピーのもと、美肌研究家のソンミ代表が立ち上げたスキンケアブランドです。パッケージは環境への配慮のため、森林循環紙やベジタブルインクが使われています。
meethの製品に実際に触れることができる、ラボをイメージしたtouch up lab(ミースタッチラボ)というショールームも展開しています。ラボではカウンセリング予約を受け付けており、実際に商品を試してアドバイスを受けることができます。限定のバスソルトの量り売りも行っています。
⑥美容メディアから誕生:PHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティーアップ)
美容メディアで集まったお客様の声をもとに誕生したPHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティーアップ)は、「お客様の悩みを解決すること」を一番に掲げています。
2019年にまつ毛美容液から始まったPHOEBE BEAUTY UPは、自分の素肌の様々な悩みを根本からよくしたいというニーズを踏まえ、安心して長く使えるスキンケアプロダクトを提供しています。
敏感肌の方でも毎日使える酵素洗顔や毛穴用の美容液は、全て日本国内の工場にて製造され、徹底した品質管理のもと届けられます。
参考:https://pb.phoebebeautyup.com/
D2Cコスメ・化粧品ブランドの成功のポイントとは
SNS(特にインスタグラム)を活用する
成功ブランドの紹介で見たように、SNSの中でも特にインスタグラムを効果的に使用するD2Cブランドが目立ちます。なかでも通常の投稿だけでなく、ハイライト機能の活用や、インスタライブなどでの交流が支持されています。
若年層が多く利用しており、かつビジュアルが重視されるインスタグラムは、商品の魅力を直接ユーザーに伝えることができるため、D2Cコスメ・化粧品の事業を行う上では特に押さえておきたいSNSです。
パーソナライズ製品を提供する
ユーザー一人ひとりに合わせて作られた商品は人気が高いです。
「自分にぴったりの商品をオススメしてくれる」というのは、ユーザーが商品や情報をわざわざ自分で取捨選択する手間を省きます。
例えばセルフカラー剤を提供するCOLORISの場合、注文前に無料診断アンケートに答えることで、自分の髪質や施術歴に合わせて商品が提供されます。
※関連記事:人気D2CブランドCOLORISに聞く!D2Cのマーケティング戦略
顧客の行動データやファンの声をもとに製品を開発している
顧客の購買データを自社のECサイトや各種SNSから直接収集・蓄積し、新製品の開発に活かすという動きが見られます。
PHOEBE BEAUTY UPは、まつ毛美容液の販売からスタートしましたが後に毛穴美容液や洗顔パウダーを発売しました。「SNSやWEBメディアの運営から得られたユーザーの声に耳を傾ける」という姿勢を貫き商品開発を行っています。
ECサイトで購買実績のある顧客あるいはメルマガ登録している顧客に限定して、メールあるいはサイトで限定セール等を告知しリピート購入を促すといったことも可能です。
外部サービスを積極的に活用する
最近ではD2Cブランドの事業をサポートする支援事業者も増えており、SNSコンサルティング・運用代行、化粧品の受託製造(OEM)やマーケティング戦略のサポートなど幅広いサービスがあります。事業の核である商品企画に注力するために、高い専門性が求められる製造やIT関連の業務は外部委託することも有効な選択肢の一つです。
例えば、立ち上げ初期は化粧品をOEM(Original Equipment manufacturer)で製造することも選択肢の一つに入れておきましょう。
なぜなら、一般に化粧品の開発・製造には相当なコストがかかるうえに、許可証の取得や書類の届出など様々な申請が必要となるためです。OEM会社に委託すれば、初期投資が抑えられますし、化粧品製造販売業の許可を自社で取得する必要がなくなります。加えて小ロットからの生産も可能なOEM会社も存在し、過剰な在庫を抱えるリスクを軽減させられる可能性も高まります。
ネットショップの立ち上げの難易度が下がったことにより競合が乱立している現在の状況だからこそ、「商品開発」「サイト制作」「集客」など個別の領域でプロの力を借りることも考えておきましょう。
法規制を遵守し、ユーザーとの法的トラブルを未然に防ぐ
化粧品やコスメの販売事業者は、薬機法を遵守する必要があります。定期コースで商品を販売するのであれば、特定商取引法に沿う定期の条件の記載やサイト構成に配慮する必要もあります。
法律を守りつつもマーケティングとして効果的な広告表現かをコンサルに確認してもらうことも、ユーザーとの法的トラブルを防ぐために有効な選択肢です。
※化粧品のネット販売のポイントについて詳しく知りたい方はこちら:化粧品をネットショップで販売するには?必須の手続きや成功のポイントについて解説
まとめ
様々な化粧品・コスメが溢れる中で、自分の悩みや理想に応じたサービスを求める傾向が高まってきています。化粧品・コスメのD2Cブランドは、「消費者と販売者の距離が近い」というD2Cの特性を活かして、ユーザーに響くプロダクトを届けていきましょう。