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動画や音楽、電子書籍といったデジタルコンテンツ、オフィスソフト、食品や美容品など様々なモノやサービスがサブスクリプション型(サブスク)で提供されるようになりました。
近年注目されているサブスクリプション市場について、本記事では市場規模や利用率、分野ごとの傾向といった観点で紹介します。
※そもそもサブスクとは何かについて知りたい方はこちら:サブスクとは?メリットやデメリット、人気サブスクリプションサービスもご紹介
※実際にサブスク事業を始めたい!という事業者様にはこちらの資料がオススメです:サブスクビジネスの始め方と成功の秘訣
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日本国内のサブスクリプションビジネス市場規模
ここではサブスクリプション・サービスの国内市場規模と、分野別の傾向について見ていきましょう。
2021年度のサブスクリプションサービス国内市場規模
矢野経済研究所の調査によると2021年度の国内のサブスクリプションサービスの市場規模(6市場計、食品・化粧品類の定期宅配サービス分野含む)はエンドユーザー(消費者)支払額ベースで、前年度比10.6%増の9,615億5,000万円でした。
前年度(2020年度)と比較すると、「衣料品・ファッションレンタル」「外食サービス」「生活関連サービス」「多拠点居住サービス」「デジタルコンテンツ」「定期宅配サービス(食品・化粧品類)」の6市場全てが成長しています。
今後のサブスクリプションサービス国内市場規模
2022年度のサブスクリプションサービス国内市場規模(6市場計)は前年度比9.5%増の1兆524億7,500万円、2024年度には1兆2,422億4,000万円になると予測されています。2022年度も6市場すべてで成長すると予測されています。
※引用:矢野経済研究所「サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2022年)」
サブスクサービスが普及した背景とは?
ここまでサブスクサービスが普及してきたのは、より多くのモノを持つという豊かさよりも、日常生活の充実やサービス体験の豊かさを重視する人が増えているという消費者の価値観の変化が背景にあります。
また安価なコンテンツ配信や、モノを素早く的確に配送できる物流の発展といった技術的な進歩、新型コロナウイルスによる在宅時間の増加など他の要因もサブスクリプションサービスの拡大に寄与していると言えるでしょう。
参考:髙橋広行・CCCマーケティング総合研究所『「持たない時代」のマーケティング サブスクとシェアリング・サービス』同文舘出版、2022年、pp. 4-7
サブスクサービスの利用動向
サブスクサービスの認知状況と利用率
チャットボットを活用した広告・ネットリサーチ事業展開する株式会社テスティーは、若年層リサーチ結果を発信するメディア「TesTee Lab」において、20代〜30代の男女1,257名(20代男性302名、20代女性317名、30代男性311名、30代女性327名)を対象にサブスクサービスに関する調査を実施しました。
20代〜30代の男女1,257名を対象に、「サブスクリプションサービス」という言葉を知っているかどうかを調査しました。「知っている(説明ができる)」と回答した人は20代で50.2%、30代で41.5%となり、「聞いたことはあるが、詳しく知らない(説明はできない)」と回答した人は20代で23.3%、30代で33.3%でした。サブスクを認知し説明までできる人は4〜5割ほどとなったものの、言葉の認知率は7割以上となり、年々認知率が上昇傾向にあることが分かりました。(強調は筆者)
引用:TesTee Lab.「サブスクリプションサービスに関する調査【2022年版】」
また同調査によると、サブスクサービスの利用率は「現在利用している」と回答したのは20代で46.4%、30代で38.7%でした。
利用率の高いサブスクサービス
また「現在サブスクリプションサービスを利用している」と回答した人を対象に現在利用中のサービスを尋ねたところ、全性年代で第1位が「映像・動画配信」、第2位が「音楽配信」と続き、年齢や性別差による順位の差はありませんでした。
株式会社フィールドワークスの2022年の調査によると、有料動画サービスの定額制見放題(SVOD)サービスの利用率は前年度から3.8%増加し28.4%でした。
※引用:株式会社フィールドワークス「「有料動画配信」メディアの利用率は32.1%に伸長/「パッケージ」メディア(DVD・ブルーレイのセル・レンタル)を10ポイント上回る」
※動画のサブスクについてさらに詳しく知りたい方はこちら:動画のサブスク5選!人気の動画配信サービスの概要や選ぶポイントを紹介!
またICT総研が2022年10月に実施したWebアンケート調査の結果によると、定額制音楽配信サービスの有料サービス利用率は24.2%、無料サービス利用率は22.0%です。
※引用:ICT総研「2022年 定額制音楽配信サービス利用動向に関する調査」
※音楽のサブスクについてさらに詳しく知りたい方はこちら:音楽はサブスクリプションが当たり前!?利用者の動向と成功させるポイントとは?
サブスク利用者が考えるサブスクの利用理由とは?
サブスク利用者は、どういった理由でサブスクを利用しているのでしょうか。
髙橋広行・CCCマーケティング総合研究所の調査によると、「色々なモノを好きなだけ使用できるから」「必要なときだけ利用できるから」「利用頻度が高いものだから」「金額を気にせず使いたいだけ使用できるから」といった回答項目が上位になっています。
飲料・食料品のような日用品のカテゴリーにおいては、「繰り返し購入する手間が省けるから」といった項目も支持されています。
※引用:髙橋広行・CCCマーケティング総合研究所『「持たない時代」のマーケティング サブスクとシェアリング・サービス』同文舘出版、2022年、pp. 44-46
サブスクを利用しない理由は?
ここでは逆に、サブスクを利用しない理由について見ていきましょう。
同調査によると、サブスクを利用しない上位の項目は「常に利用したいわけではないから」「継続的に料金を支払うことに抵抗があるから」「解約することが面倒だから」「サービス提供者に返送・返却するのが面倒だから」「定額料金の元がとれなそうだから」でした。
したがって、上記懸念事項や不安をなくしていけるようなサービス設計が利用者から求められていることがわかります。
※引用:髙橋広行・CCCマーケティング総合研究所『「持たない時代」のマーケティング サブスクとシェアリング・サービス』同文舘出版、2022年、pp. 55-56
※関連記事:サブスクの契約や解約時の消費者問題とは?トラブル事例や事業者側の留意点も解説
日本サブスクリプションビジネス大賞2022から見るサブスク市場の動向
サブスク大賞とは?
「日本サブスクリプションビジネス大賞」とは、1年間で最も優れたサブスクリプションサービスが表彰されるイベントです。第4回目の開催となる「日本サブスクリプションビジネス大賞2022」では13のサービスがノミネートされ、多くの報道関係者も訪れました。
サブスクの”安全性”が重視されるように
サブスク大賞2022年からは審査項目に、従来の「お得」「悩み解決」「便利」「新規性」「成長性」に加え、利用者にとっての「安全性」が追加されました。これは、解約手続きのわかりにくさや継続課金のトラブルといった消費者トラブルが近年問題視されているからです。
参考:独立行政法人国民生活センター「「解約したはず!」「契約してない!」と思い込んでいませんか? 予期せぬ“サブスク”の請求トラブルに注意!」
レジャー関連のサブスクサービスが増加
サブスクリプションビジネス振興会の新会長の梶山啓介氏によると、2022年度はコロナ禍を経て需要が高まったレジャー体験に関するサービスやフードロス対策のような社会課題の解決を目指すサービスの応募が増加したとのことです。
つまり、レジャーやアクティビティといった体験を提供するサービスやSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に関連したサービスが消費者にも支持されてきているということです。
※サブスク大賞の結果について知りたい方はこちら:【速報】日本サブスクリプションビジネス大賞2022受賞サービス発表!
今後の展望:2023年以降のサブスク市場は?
本記事では、サブスクリプション(サブスク)サービスの市場規模や利用率、分野ごとの傾向などについて見てきました。
サブスク市場は2023年以降も拡大していくと予測されています。動画や音楽といったコンテンツ配信サービスのサブスクだけでなく、飲料・食料品といった日用品やレジャー体験といった様々な商品・サービスがサブスク化され、サブスクリプションサービスは今後ますます身近なサービスになっていくでしょう。
※参考
消費者庁「サブスクリプション・サービスの動向整理」
髙橋広行・CCCマーケティング総合研究所『「持たない時代」のマーケティング サブスクとシェアリング・サービス』同文舘出版、2022年
矢野経済研究所「サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2022年)」
※実際にサブスク事業を始めたい!という事業者様にはこちらの資料がオススメです:サブスクビジネスの始め方と成功の秘訣