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いま注目を集めるD2C(DtoC)。海外だけでなく、日本国内でも成功しているブランドが出てきています。
成功するD2Cブランドに共通する特徴とは何なのでしょうか。
ここでは、D2Cブランドの成功事例と、D2Cブランドを立ち上げる際に気をつけたいポイントについて解説します!
D2Cにてブランドが重要な理由とは?
D2C(DtoC)とは?
D2C(DtoC)とは、仲介業者なしに商品の製造から販売までを自社で行うというビジネスモデルです。
どうして今D2Cが注目されているのか
「商品の製造者と販売者が一体である」というだけであれば、町のお豆腐屋さんもD2Cビジネスを行っていると言えてしまいます。
ではなぜ今、「D2C」というビジネスモデルが注目されているのでしょうか。 それには以下のような背景・理由があります。
・ネットショップなどでユーザーと直接コミュニケーションができる、ITインフラやSNSが整備されたこと
・ユーザーニーズを取得できるデータ活用の手法が一般化したこと
・倉庫、物流システムの発達
※D2Cについてさらに詳しく知りたい方はこちら:D2Cとは?ビジネスモデルとそのメリット、成功事例を解説!
D2Cの国内の成功事例
そそれでは、D2Cの国内の成功事例を見てきましょう!
美容系:COLORIS(カラリス)
株式会社ストークメディエーションが運営するCOLORIS(カラリス)は、ヘアカラーセットを、顧客一人ひとりに合わせて提供しています。
スーパーやドラッグストアで売られている市販品は、多くの人に染まるように製造されているものの、自分の髪質や頭皮に合っているものかはわかりません。他方美容室でのカラー施術だと、丁寧に行ってくれますが時間やお金がかかってしまいます。
COLORISでは、ユーザーが購入前に質問に回答することで、自分に合ったカラー剤を受け取ることができます。
カラー剤は第一に「きちんと染まる」ことが求められるので、商品開発の際は商品の質には特にこだわっているようです。また商品を適切に使用してもらうために、同梱物やLINE、各SNSを通して利用法などを伝えています。
※カラリスのマーケティング戦略についてさらに詳しく知りたい方はこちら:人気D2CブランドCOLORISに聞く!D2Cのマーケティング戦略
※化粧品・コスメD2Cブランドの事例についてさらに詳しく知りたい方はこちら:【国内】化粧品・コスメD2Cブランド6選!人気の秘密と成功のポイントとは?
食品系:VALX(バルクス)
株式会社レバレッジが運営するVALX(バルクス)では、主にプロテインを提供しています。 プロ野球選手などのトップアスリートも利用しています。
一般的なD2Cブランドは原価率を下げることで広告費を捻出していることもあります。
対してVALXはプロのパーソナルトレーナーなどの玄人好みのプロダクトを作り切ることで、広告に頼らないビジネスモデルを確立できており、原価率50%以上を実現しています。
運営するYouTubeのチャンネル登録者数は60万人に達し(2022年9月時点)、プロダクトの良さがブランドの評価に繋がり、広がりを見せています。
※健康食品・サプリのD2Cブランドの成功事例についてさらに詳しく知りたい方はこちら:【成功事例】サプリメントD2Cで成功した注目ブランド7選!
※食品D2Cブランドの成功事例についてさらに詳しく知りたい方はこちら:人気食品D2Cブランド7選!食品D2C成功のポイントとは?
アパレル:FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)
FABRIC TOKYOは、株式会社FABRIC TOKYOが運営するオーダーメイドのスーツのD2Cブランドです。
オーダースーツにある「時間がかかる」「高そう」などの既成概念をテクノロジーで解決し、誰もが気軽に適正価格で購入できる世界を目指しています。
一度実店舗で計測すれば結果がクラウドに保存されるため、場所を選ばずにオーダースーツを購入することができます。
販売はオンラインがメインのであるため、他のアパレルとは違い実店舗の運営に必要となる賃料などが削減できています。
嗜好品:DR. VAPE(ドクターベイプ)
Dr.VAPEは、株式会社ロックビルが運営するタール0・ニコチン0・嫌な臭い0の3つを実現する電子タバコです。
健康に悪影響がある、臭いがつくといった、タバコのネガティブな要素を気にする必要がなくなります。
スタイリッシュなデザインのデバイスで、様々なフレーバーを楽しむことができます。
DR. VAPEは「香りを吸う新しい習慣」を新たに提案しています。
本体は売り切り型ですが、フレーバーのカートリッジはサブスクリプション(定期購入)型で契約できます。途中でフレーバーの変更などができ、飽きることなく利用することができます。
本体のデザインは、レディ・ガガのファッションクリエイターを務めたクリエイティブディレクターがデザインを監修し、タバコの持つ従来の概念を大きく変えるような新しいタバコのブランドイメージを提案しています。
成功するD2Cブランドの特徴
それでは、成功するD2Cブランドに共通している特徴とは一体何でしょうか。
D2Cはブランドから想起される「世界観」が大事
D2Cで商品を販売する場合、データを取得しやすい自社サイトにて販売する手法が一般的です。その場合、Amazonや楽天といった総合モールに比べて集客が難しいというデメリットを抱えています。どんなに素晴らしい商品を製造しても、自社サイトに来てもらわなければ購入されません。
それでは、集客に成功しているサイトの特徴とは何でしょうか?
それは、”そのブランドならでは”という「世界観」をユーザーに認識してもらっているという特徴です。
「世界観」とは、言い換えれば、そのブランドがユーザーに想像させることができるライフスタイル、価値観のことです。
「このサービスを利用すればお洒落な暮らしができそう」「このブランドの価値観は自分の価値観に合ってて共感できる」などと、ユーザーが他のサービスとはここが違う!と感じられるようなブランディングができるのが理想です。
D2Cのブランディングは顧客データの活用が原則
D2Cのブランディングやマーケティングの基本は、顧客データをもとにして戦略・施策を考えるということです。顧客データの活用こそ、D2Cブランドを成長させるためのカギです。
D2Cで事業を行うことで、自社に様々なデータが蓄積されます。
データが蓄積されると、例えば以下のようなことを確認できます。
・どの広告媒体からサイトに流入したのか
・どのような決済手段を用いたか
・よく購入される時期や時間帯はいつか
・リピーターの割合はどれくらいか
・LTV(顧客生涯価値)はいくらか
製造者(メーカー)と小売店(マーチャント)が分かれているB2C(BtoC)では、自社で確認できないデータも存在してしまいます。それに対してD2Cだと、商品を認知してから購入するまでのユーザーの購買行動を示すデータを丸ごと確認することができます。
データをもとにすれば、より効果が上がりやすいマーケティング施策を考えやすいでしょう。
特に気にしたいのは、サイトへの流入から購入、リピートまでの流れです。なぜなら、ほんとうにターゲットにしたい層に長くサービスを利用してもらうためです。偶然に集客に成功できたとしても、ユーザーが定着してリピートされなければ、事業が中長期的に拡大していくことは難しいでしょう。
個別の項目の数値だけでなく「サービスの認知から購入までの流れ」を通しで把握できるのが、D2Cの強みです。
D2Cではユーザーと顧客がブランドをつくる
D2Cは、企業が商品・サービスを消費者へと一方的に提供するだけでは上手くいかないと言われています。というのも、顧客のファン化やSNSによる拡散が、サービスの進展に結びつくからです。
D2Cブランドにおける顧客のファン化とはどのようなことを意味しているのでしょうか。それは、個別の商品だけでなく「ブランドそれ自体」をユーザーに気に入ってもらうということです。
先ほども述べたようにD2Cビジネスは、自社サイトに来てもらう必要があるので集客が難しいという側面があります。ただ一方で、サイトに訪問したユーザーにブランドの「世界観」が伝わり、サービスを長く愛用してもらえば、ユーザーがサービスを支えてくれるような存在になるのです。
例えば、以下のような点がファン獲得によるD2C事業者のメリットです。
・LTV(顧客生涯価値)が伸びる
・SNSやブログの投稿などでサービスを広げてくれる
よくも悪くも、SNSやブログへ投稿される感想というのは、「本音」で書かれていることが多いです。社員ではない第三者からのサービスへの率直な意見が、サービスの評価に影響を与えます。
商品やサービスに関して批判的な意見が見られる場合はサービスの改善案として参考にするという姿勢も、D2Cの事業者には求められているでしょう。
D2Cブランドを立ち上げる際のポイント
最後に、D2Cブランドを立ち上げる際に考慮しておきたいポイントを紹介します!
顧客の真のニーズを満たすようなブランドのコンセプトを
D2Cの強みは、商品の制作から販売までの流れを自社で設計できるということでした。
そのためD2Cビジネスでは、「誰の悩みをどのように解決するのか」という視点が特に重要です。
例えばCOLORISなら「美容室に行きたいけど時間や金銭的に行けない」という人に向けて、「DR. VAPE」なら「タバコは吸いたいけど、臭いや健康への影響が気になる」という人に向けて、サービスを提供しています。
メインのターゲット層に向けて、商品やサイトを制作することがポイントです。
その際、ユーザーがどのように購入するかまでではなく、購入して商品を利用してどのように感じるかまでも考慮するとよいでしょう。
様々なチャネルを駆使してユーザーと接点を持つ
D2Cブランドは、ユーザーとどこで接点を持つかという点もポイントになります。
例えば、以下のような点を事業者は決めなければならないでしょう。
・実店舗(リアル店舗)は展開するのか
・自社はどこで、どのような情報を届けるのか(SNS、ブログ、同梱物など)
・どの媒体に広告を出稿するのか
ブランドの「世界観」をどのように伝え、サービスを長く利用していただくか、その戦略のもと、D2C事業者はユーザーとの接点を構築していく必要があるでしょう。