単品通販のLTVを最大化させるCRM施策とは?

単品通販のLTVを最大化させるCRM施策とは?

単品通販の売上を安定させるためには、顧客一人あたりから得られる利益の値であるLTVを最大化させる必要があります。単品通販は、1種類の商品やブランドを主にECで販売するというビジネスモデルであり、継続してお客さまに商品を購入してもらう(リピート購入してもらう)ことで投資コストを回収するため、その多くは「単品リピート通販」「定期通販」とも呼ばれます。

※単品通販についてさらに詳しく知りたい方はこちら:単品通販とは?ビジネスモデルから成功するポイントまで徹底解説

ECサイトへの集客やサイト内のCVR改善などLTVを伸ばす方法は複数ありますが、本記事ではLTV向上に寄与するCRM施策を中心に解説します。CRMのメリットやその留意点についても紹介します。

LTVとCRMの定義

LTV(顧客生涯価値)とは?

LTV(Life Time Value)は「顧客生涯価値」と訳される指標で、「顧客が生涯を通じて企業にもたらす価値」のことです。

EC事業という観点では、「顧客に複数回買い物をしてもらうこと」や「ついで買いしてもらうこと」「より高価格の上位プランに変更してもらうこと」でLTVが向上します。

※LTVの定義やその計算方法についてさらに詳しく知りたい方はこちら:LTVとは?計算方法と向上させるコツを解説

※関連記事:D2Cの利益率が高い理由とは?高利益率を実現するためのポイントも紹介!

CRM(顧客関係管理)とは?

CRM(Customer Relationship Management)は「顧客関係管理」と訳され、一般には「ITを活用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法」を指します。また、CRM施策を効率的に行うためのツールやシステム自体を指す場合もあります。

CRMはLTVを向上させる施策の一つであり、ECの用語としては顧客データを活用して顧客のリピート購入を促すことを意味することが多いです。

※CRM戦略についてさらに詳しく知りたい方はこちら:CRM戦略とは?メリットと失敗しないためのポイント

CRMに取り組むメリット・デメリット

CRMに取り組むメリット

CRMに取り組むメリットは、以下のようにまとめられます。

CRMに取り組むメリット
顧客情報を一元管理できる
顧客情報の分析にかかる工数が削減できる
効果的なマーケティング施策が打て、LTVが向上する
顧客満足度が向上する

CRMツールを利用すれば、購買履歴やコールセンターへの問い合わせ内容など様々な顧客情報を一元管理することができます。顧客情報を一元管理するメリットは、顧客データの抽出やデータ分析などをまとめて行えることです。

業務時間の削減や、顧客インサイト(顧客自身が気づいていない潜在的なニーズ)を発見し新たなサービスやサポートが提供できるようになります。

例えば、「特定の属性のリピート率が高い」といったように優良顧客層を特定し、その層に向けて特典を与えてよりLTVを向上させることを図ったり、コールセンターでよく尋ねれられる内容をWebサイトのFAQに記載することによって顧客の利便性を向上させたりといったことができます。

CRMに取り組むデメリット・留意点

CRMに取り組むデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

CRMに取り組むデメリット
コストがかかる(システム導入費用、業務フロー見直し、社員研修の実施)
システムを導入するだけでは効果が出ない
成果が出るまでには一定の期間がかかる

CRM活動を行うためには、顧客データを安全に管理するITインフラが整っていることが前提となります。

また、CRMシステム・ツール導入による効果を得るために、既存の業務フローを見直し社内の体制を整えることも必要となります。そうしないと、導入時に期待していた効果を得られることは難しいからです。

CRMに取り組むにあたっては、その重要性を経営者や現場担当者が理解し、協力してもらわなくてはならないという壁が存在するのです。

単品通販でLTVを向上させるにはCRMが不可欠

単品通販は、商品をリピート購入あるいは定期購入してもらうことで投資コストを回収するビジネスモデルです。とりわけ定期購入サービスでは、毎月一定の解約があります。したがって事業者は顧客数を維持するため、新規顧客を獲得し続けなければなりません。

加えて新規顧客獲得のCPA(新規顧客一人を獲得するためにかかるコスト)は高騰傾向にあります。複数回商品を購入いただけないと、かけた広告費を回収できない可能性があるのです。

以上のような理由により、見込み顧客への接触・育成、既存顧客へのアプローチなどを行うためのCRMが重要視されています。

単品通販でLTVをアップさせるCRMの例

それでは、単品通販で実践できるCRMには具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、事業者が実施できるCRMを5つ紹介します。

①同梱物として商品の使い方を示したチラシや新商品のご案内を入れる

単品通販で主に販売される化粧品や健康食品は、顧客に適切な量や方法で継続的に利用してもらうことで初めて効果が出るものが多いです。一方で、購入前の商品ページやLP(ランディングページ)での商品紹介だけで正しく商品を利用してもらうことは難しいという課題もあります。

そのため、同梱物として商品の利用法についてわかりやすく解説したチラシなどを入れることで、「使用方法がよくわからない」「効果が出なかったから解約しよう」といったケースを未然に防ぎましょう。

また定期購入いただいている商品とは別の、シリーズ商品や新商品のご案内を同梱し、クロスセル(顧客が購入を検討している商品とは別の商品も提案すること)を狙うこともLTVを向上させるのに効果的です。

②休眠顧客を抽出し、キャンペーンクーポンを付与する

お試し商品や1回購入のみの顧客、また定期購入を一時停止している顧客を対象に、メルマガ配信時にクーポンを与えサイトへの訪問や商品購入を促します。いわゆる「休眠掘り起こし」です。

メルマガの他にも、ステップメールやDMなどを配信するといったアプローチもあります。

特に、過去購入金額や購入回数が多かったいわゆる「VIP顧客」には優先的にオファーを行い、リピート購入を促しましょう。何らかの理由で購入をやめてしまった顧客でも、以前は数度購入してもらっていたわけなので、きっかけがあれば再度購入する可能性は高いと言えます。

※効果的な顧客分析についてさらに詳しく知りたい方はこちら:効果的な販促をしたい!RFM分析の目的と顧客別のアプローチ方法

③LINE公式アカウントに誘導する

現在ではメルマガよりもLINEのほうがメッセージの開封率が高いので、LINEの活用も検討しましょう。商品購入時や、同梱物のチラシやメルマガなど他の顧客とのタッチポイント(接点)でもLINEの友達登録を誘導しましょう。

LINEは登録しやすい反面、通知オフやブロックといったことも容易です。そのため、初回限定のオファーで終わらず、継続的お得な情報やクーポンを配信するなど、継続的なコミュニケーションを図りましょう。

④会員ランクを取り入れて、購入頻度が高い顧客には特別割引やプレゼントを用意しロイヤリティを高める

購入回数や購入金額に合わせた「会員ランク」制度を設け、上位ランクの顧客には特別なクーポンやプレゼントを提供します。

そうすることで「せっかくだし、またこのショップで買おう」という顧客のモチベーションやロイヤリティを高めることができるでしょう。

⑤顧客にとって有益なコンテンツを発信する

商品の売り込みを目的としたコンテンツではなく、提供している商品やサービスに関連する有益な情報も顧客に提供しましょう。

コンテンツ制作には労力がかかりますが、良質なコンテンツは24時間365日サイトへの集客を促します。hタグやmeta descripiton(メタディスクリプション)の設定など、SEO(検索エンジン最適化)も考慮すると、非広告経由でのサイト訪問数も増えるはずです。

良質なコンテンツをSNSに投稿することで、既存顧客にも未来の顧客にも接触する機会を増やすこともできます。

顧客に「このブランドは〇〇に詳しい!」と思ってもらうことができれば、ブランド自体を信頼してもらえるはずです。

※参考:日本ネット経済新聞「“売らないCRM”でLTVを最大化せよ~単品通販(D2C)の本質は教育業~」

まとめ

本記事では、単品通販のLTVを向上させるための取り組みとしてのCRMについてお伝えしました。

CRMとは「ITを活用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法」のことであり、単品通販のLTVを最大化させるためには、このCRMが不可欠です。

CRMツールを活用すると、顧客情報を一元管理することができ、簡単にCRMを行うことができます。CRMツールを導入する場合は、コスト以外にも社内の業務フローやセキュリティを見直す必要があるので注意しましょう。

企業によって提供する商品やサービスが異なるので、「このCRM施策を実践すれば必ず成功する」という絶対的な法則は存在しません。CRMで重要なのは、顧客の属性やWebサイト上での行動、嗜好に合わせ、有益なサービスや情報をタイミングよく届けることなのです。

参考図書
西江肇司・谷井等『実践インバウンド・マーケティング』宣伝会議、2013年
坂本雅志『CRMの基本 この1冊ですべてわかる』日本実業出版社、2014年

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